【そもそも経営学は】東京理科大学 新学部設置【文系なのか?】

2020年6月26日 金曜日

近年の就職市場の活性化により、経営学系統の志願者が増えていますが、そもそも経営学とは何でしょうか。GOO辞書で調べてみると「経営学=企業経営にかかわる経済的・人間的・技術的側面を研究対象とする学問」と書いてあります。この分野で伝統のある旧三高商を見てみると、一橋大学は商学部の下に商学科と経営学科があり、大阪市立大学も商学部の中に商学科と公共経営学科を設置していますので、経営学に会計学は含まれないという概念になりますが、神戸大学は経営学部の経営学科に、「経営学分野」「会計学分野」「市場科学分野」の主に3分野のゼミが設置されるなど包含関係が逆になっています。

それはさておき、今回話題の東京理科大学の経営学部は組織としては「経営学科」と「ビジネスエコノミクス学科」にわかれており、「経営戦略」「マーケティング」「会計ファイナンス」「情報マネジメント」の4領域を中心に卒業研究するという学部ですが、そもそも企業経営は数字で表現されるものですし、特に会計学では原価率や利益率といった数字が必要。それ以上にマーケティングとなれば社会学的要素が必要になりますから統計学も必須。情報マネジメントとなれば、様々な意思決定のフローチャートが複雑に交錯する分野ですから論理学が必要・・・。つまり、経営学は数学の応用領域なのです。

さらに次年度から新学科を増設する構想があるようです。世界の国や地域が複雑に絡み合っていることは、地球温暖化などの環境問題から今回のコロナ禍によるマスク不足など生活に密着する部分まで影響を及ぼしていることは明らかですが、そこを理論的に解決していこうという学問分野になりそうです。

というわけで、経営学=文系と考えて大学探しをしている受験生の中には東京理科大は理系の大学だと感じて選択肢から外していた人がいるかもしれませんが、今一度調べてみてください。段階的に数理的アプローチが学べるカリキュラム構成は企業からも高い評価を得ているようですよ。

【速報】2021年度 大学入学共通テスト 実施日確定【追試が2回?】

2020年6月22日 月曜日

文部科学省高等教育局長より、令和3年度(2021年度)の大学入学選抜に関する通知が19日に発表されました。その中で、初めてとなる「大学入学共通テスト」の実施日程が正式に発表されています。

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(ⅰ) 令和3年1月16日,17日

(ⅱ) 令和3年1月30日,31日 ※(ⅰ)の追試験としても実施。

(ⅲ) 特例追試験令和3年2月13日,14日 ※(ⅱ)の追試験として実施。

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(ⅰ)の基本日程は既に発表されているとおりですが、今まで病気や交通機関の影響など特別な理由がある人しか受験できなかった追試験は、学業の遅れも理由として認められることになり、(ⅱ)の試験場を「全都道府県」に設置するとしています。というわけで、今年の受験生はまず、どちらの日程で受験するのかという判断も必要になるわけです。但し(ⅱ)の日程は関西では近畿大学をはじめとして大規模な私立大学の試験日と重なりますし、2月1日からの関関同立の直前ともなりますので、そちらとの調整も必要になると思います。 また、受験者数が(ⅰ)よりも極端に少なくなると、平均点が極端に低くなった時の得点調整が行われないリスクもありますので、元から受験者数の少ない科目(世界史Aや地学)を選択している受験生は要注意です。

 少しラッキー(?)なのは今の高校2年生。「大学入学共通テスト」の過去問が1年分しか入手できないと思っていたら、追試2回分を含めて3回分を目にすることができるわけですね。

 しかし、新たな傾向で、しかも難易度を合わせた問題を3セット作り、全国に追試験会場を設置・・・。大学入学共通テストは初年度から運営面でのハードルが上がっています。そのうえ一時期検討されていた記述式が導入されていたら・・・。結果論ですが、やめておいてよかったです。

公認会計士に近い大学(その2)

2020年6月9日 火曜日

一方の早稲田もここ55年連続で2位をキープ。こちらも2位だとはいえ、毎年100名前後の合格者数を出しています。こちらは1904年に「商科」が設置されて以来117年の歴史を誇る商学部は10年前に校舎も建て替えられ、最新学習環境で幅広く企業会計を学ぶ場となっています。加えて学内には「会計学会」という公認会計士を目指す巨大なサークルがあり、オフィスツアーや明治大学との懇親会、共同での論文発表会等行っているそうです。そう思ってもう一度実績を見ると、明治と早稲田の実績を足せば慶應義塾と抜きつ抜かれつの関係ですから、この2大勢力が首都圏で競い合っている状況が見えてきます。

それでは東大や一橋とNo3の座を毎年争っている中央大学はといえば、こちらは学内にある「経理研究所」という組織が資格取得を目指す学生向けの講座を開講しており、特に最難関の公認会計士試験に向けては個別に指導を行うなど、大学自身が力を入れています。2019年度合格71名中、この研究所出身者は56名とのことですから、外部予備校よりも実績を出していることがわかります。

というわけで、この4大学、「OBの慶應義塾」、「学生組織の早稲田・明治」、「大学サポートの中央」とそれぞれ勝ちパターンが違いますが、公認会計士を目指すのであればこれらの大学が近道であることは間違いなさそうです。

公認会計士に近い大学(その1)

2020年6月8日 月曜日

こちらの試験も司法試験と同じく、コロナウイルス感染症の影響で、試験日程が延期されている「公認会計士試験」についてです。こちらも合格率10%前後、合格者の平均年齢は25歳以上と、難易度の高い資格試験です。 この試験、司法試験(の予備試験)と同じように受験資格が無いので、大学を卒業していなくても受験は可能なのですが、企業会計を監査する=お墨付きを与える、という極めて専門性の高い資格であるため、資格取得のための予備校にも在籍するダブルスクールをするケースも多くみられます。しかし、それなら大学ごとの強弱が出ないはずですが、ひとまず、こちらのグラフをご覧ください。

今年のベスト5大学の、過去20年間の推移(東京大学の2014年はベスト10に入っていなかったため、数値がわかりません)ですが、慶應義塾が常に首位です。因みに過去50年の記録を見ると、1971年(昭和46年)と1973年(昭和48年)の2回、中央大学に首位譲ったことがありますが、のこり48回は慶應義塾がトップと圧倒的な強さを誇っています。 この強さの秘密は、「公認会計士 三田会」という公認会計士の1割を占めるといわれる巨大なOB組織の存在が挙げられます。OBによる現役学生向けの講演やサポートと大学のカリキュラムが組み合わされ、慶應義塾の学生向けのスクールも複数立ち上がるなど、ほかの大学に見られない手厚さです。(続く)

2019年度 司法試験 合格者数 その3

2020年6月5日 金曜日

では、もう一つの道、法科大学院に進んだらどうなるのかをみてみましょう。こちらは最終合格率でランキングにしてみました。京都大の法科大学院では201人のうち177人が短答式の基準を満たし、論文試験を採点してもらえましたが、その結果、126名、71.2%が合格、というように見てください。合格率4%の予備試験に合格するのと、法科大学院に入学するのはどちらが難しいのか単純比較ができませんが、ひとまず法科大学院に入ったほうが合格率ははるかに高いようです。

但し、その人数の差は大きく、100名以上の合格者を出している大学院がある一方、受験者も一桁というところもあります。実は2004年(平成16年)に司法試験の制度改正に伴って多くの法科大学院が開設されましたが、結果的に司法試験の合格者数がほとんど出せないなどで、法科大学院への進学希望者も全体的に減少し、実績のある大学院にのみ学生が集中する状況となっています。実は、このリスト上73に加えて、リスト上にない2大学院を加えての75の大学院のうち、約半数以上の39校がすでに閉鎖、または募集停止となっています。関西でも、「関関同立」の4大学には引き続き設置されていますが、「産近甲龍」の4大学はすべて撤退です。神奈川大学法科大学院のように、短答式に合格した2人が論述試験でも合格していることからわかるように、少人数であっても法律の知識だけでなく、応用力まで養成できている大学院もあっただけに、残念でもあります。

 このように学校数は減少していますが、司法試験まで考える受験生は、法科大学院進学も一つの選択肢と考え、大学選びの材料としてみてはいかがでしょうか。

2019年度 司法試験 合格者数 その2

2020年6月4日 木曜日

というわけで、受験資格不問の(大学生でも高校生でも受験できる)予備試験の、昨年の状況を見てみましょう。

東大は強いですねぇ。合格者数、合格率ともに抜きんでています。しかも、すでに2年生が14名も合格、順調にいけば3年生のうちに合格できるというわけです。慶應義塾・早稲田・一橋・立教には1年生で合格した強者がいます。いったいいつ勉強したのだろう。

関西の私大の状況を見てみますと、関西大=0、関西学院大=1、同志社大=4、立命館大=2、と大変厳しい結果となっております。しかし、司法試験に限らず法律の知識が生かせる専門的な資格が他にもありますので、「法学部に進んで、法律家になる」といった夢を持つ高校生は、この数字を見て、その夢をあきらめることのないようにしましょう。(続く)

2019年度 司法試験 合格者数 その1

2020年6月3日 水曜日

新型コロナウイルス感染症は各方面に大きな影響を与えましたが、今年度は5月13日~17日の4日間で実施予定だった司法試験も延期となっています。薬剤師国家試験は12時間40分と書きましたが、司法試験は何と中1日はお休みの4日間で合計試験時間が19時間55分という地獄のような試験で、法科大学院出身者と予備試験合格者しか出願できませんが、それでも合格率は30%前後です。かつては最後に口述試験がありましたが、現在は無くなりました。一方、法科大学院を経ずに司法試験を受験するために合格が必要な予備試験では、短答式の4時間半の試験(こちらも5月17日から8月16日に延期)の合格者が11時間半の論文式試験に進み、その合格者が口述試験(2日間)に進む、という3段階になっており、こちらの最終合格率は4%前後となっています。つまり法科大学院に入って2~3年勉強してから受験するのか、自分で頑張って予備試験に挑戦するのか、選択できるというわけです。(続く)

【第105回】薬剤師国家試験 合格者数 その2【2020年】

2020年6月2日 火曜日

 募集人数が大きな薬学部、それに伴って国家試験合格者数も多い薬学部は存在感があるのですが、大学としては人数というより、「合格率」も重視しています。そこで、新卒の合格率で並び替えてみました。こちらが合格率90%以上の30校です。

 (その1)で話題にした東京大学。現役では9人しか出願していないけど、全員受験して、全員合格だったのね、ほお・・・。という見方もできますが、人数、割合共にすごいな、と思うのは、静岡県立大、国際医療福祉大、名城大、東京理科大、明治薬科大、近畿大あたりでしょうか。人数ランキングでは上位だった近畿圏の京都薬科、大阪薬科、神戸薬科もすべて合格率90%以上をキープ。大したものです。というわけで、次年度入試でもこのあたりの薬学部の人気が衰えることはありませんので、受験生は早めにこれらの大学の入試科目を調べて、頑張りましょう。

 因みに、入試科目が多い大学のほうが、国家試験合格率も高いという傾向もあります。したがってあまり早くから科目の絞り込みをしないように、と付け加えておきます。

【第105回】薬剤師国家試験 合格者数 その1【2020年】

2020年6月1日 月曜日

 新型コロナウイルス感染症により2月末に学校の一斉休業が要請されましたが、その1週間前の滑り込みのタイミングで、第105回薬剤師国家試験が全国9都道府県の13会場で実施されました。2日間朝から夕方まで、総試験時間12時間40分というハードな試験です。ここ近年合格者数は1万人前後で推移していますが、3月24日に発表された今年の結果では受験者の69.58%にあたる9958名が合格しました。 因みに日本では薬剤師の国家試験を受験することができる大学は73校あります。そこで学校ごとの合格者数の順番で並べてみました。

 東京薬科、京都薬科、大阪薬科とベスト3はマンモス私立薬科大学が並びます。この3校だけで約1000名。全体の1割を占めることになります。近畿圏では6位に神戸薬科、16位に神戸学院、17位に武庫川女子、20位に摂南と有名どころが並んでいます。一方、募集人数が少ない国公立はランキングでは下のほうとなり、最も受験者も合格者も少ないのは東京大学、というわけです。実は東京大学薬学部は薬剤師の養成というより、研究に比重が置かれていますので、例年受験者はこの程度となっています。(続く)

【勝手に】同志社と立命館を比べてみました【同立戦】(その2)

2020年5月29日 金曜日

新卒求人市場の活況に伴い人気の高かった商学系で比べてみました。同志社商学部と立命館経営学部の比較です。立命館には「食マネジメント」という経営学に近い学部もありますが、2018年度新設とまだ歴史も浅いので今回は除外しています。今年の募集定員は同志社419名、立命館795名です。

立命館のこの学部は2015年にびわこくさつキャンパスから大阪いばらきに移転しましたので、毎年1万人近くの志願者が集まるようになりました。しかし、2019年入試で定員を30名減らしたのに受験生が反応しすぎたのか、志願者が1割ほど減少し、今年はその反動で増えましたのでご覧のように乱高下しています。英語力(特に単語力と長文読解の力)がある受験生は実質倍率が安定している同志社のほうが安心して受験できるかもしれません。

最後に、心理学系です。立命館は2016年から文学部の心理学科を独立させる形で「総合心理学部」を大阪いばらきキャンパスに作りましたので、そこからの比較になります。募集規模は今年での比較で同志社は75名、立命館は280名と4倍近い違いがあります。

最初の2年間は安定して立命館が勝っていますが、2018年に定員を5名増やした同志社が受験生に安心感を与えたのでしょうか、志願者が251名も増えて、実質倍率で一気に立命館に追いついてきました。しかし、そこでの難化が次年度の模試判定に影響したのでしょうか、2019年度には立命館に流入、2020年度には両校とも難関の心理分野から受験生流出という状況です。というわけで、広報については大学として頑張ってね、ではなくて専門分野としての心理学の魅力発信が求められています。但し下がったといっても両校とも5倍近い実質倍率ですから、心理学を勉強したい受験生はそれなりの覚悟と努力をお願いします。

夏の甲子園も中止とのニュースが入ってきましたが、大学野球も、今年の関西学生野球の春季リーグ開幕が延期され、無観客試合もしくは中止の可能性もあります。今春入学して「同立戦」で盛り上がろうと思っていた学生の皆さん、メガホンをヘルメットに貼り付けて原付で都大路を爆走するのは今しばらくお待ちください。