公認会計士に近い大学(その1)

2020年6月8日 月曜日

こちらの試験も司法試験と同じく、コロナウイルス感染症の影響で、試験日程が延期されている「公認会計士試験」についてです。こちらも合格率10%前後、合格者の平均年齢は25歳以上と、難易度の高い資格試験です。 この試験、司法試験(の予備試験)と同じように受験資格が無いので、大学を卒業していなくても受験は可能なのですが、企業会計を監査する=お墨付きを与える、という極めて専門性の高い資格であるため、資格取得のための予備校にも在籍するダブルスクールをするケースも多くみられます。しかし、それなら大学ごとの強弱が出ないはずですが、ひとまず、こちらのグラフをご覧ください。

今年のベスト5大学の、過去20年間の推移(東京大学の2014年はベスト10に入っていなかったため、数値がわかりません)ですが、慶應義塾が常に首位です。因みに過去50年の記録を見ると、1971年(昭和46年)と1973年(昭和48年)の2回、中央大学に首位譲ったことがありますが、のこり48回は慶應義塾がトップと圧倒的な強さを誇っています。 この強さの秘密は、「公認会計士 三田会」という公認会計士の1割を占めるといわれる巨大なOB組織の存在が挙げられます。OBによる現役学生向けの講演やサポートと大学のカリキュラムが組み合わされ、慶應義塾の学生向けのスクールも複数立ち上がるなど、ほかの大学に見られない手厚さです。(続く)

2019年度 司法試験 合格者数 その3

2020年6月5日 金曜日

では、もう一つの道、法科大学院に進んだらどうなるのかをみてみましょう。こちらは最終合格率でランキングにしてみました。京都大の法科大学院では201人のうち177人が短答式の基準を満たし、論文試験を採点してもらえましたが、その結果、126名、71.2%が合格、というように見てください。合格率4%の予備試験に合格するのと、法科大学院に入学するのはどちらが難しいのか単純比較ができませんが、ひとまず法科大学院に入ったほうが合格率ははるかに高いようです。

但し、その人数の差は大きく、100名以上の合格者を出している大学院がある一方、受験者も一桁というところもあります。実は2004年(平成16年)に司法試験の制度改正に伴って多くの法科大学院が開設されましたが、結果的に司法試験の合格者数がほとんど出せないなどで、法科大学院への進学希望者も全体的に減少し、実績のある大学院にのみ学生が集中する状況となっています。実は、このリスト上73に加えて、リスト上にない2大学院を加えての75の大学院のうち、約半数以上の39校がすでに閉鎖、または募集停止となっています。関西でも、「関関同立」の4大学には引き続き設置されていますが、「産近甲龍」の4大学はすべて撤退です。神奈川大学法科大学院のように、短答式に合格した2人が論述試験でも合格していることからわかるように、少人数であっても法律の知識だけでなく、応用力まで養成できている大学院もあっただけに、残念でもあります。

 このように学校数は減少していますが、司法試験まで考える受験生は、法科大学院進学も一つの選択肢と考え、大学選びの材料としてみてはいかがでしょうか。

2019年度 司法試験 合格者数 その2

2020年6月4日 木曜日

というわけで、受験資格不問の(大学生でも高校生でも受験できる)予備試験の、昨年の状況を見てみましょう。

東大は強いですねぇ。合格者数、合格率ともに抜きんでています。しかも、すでに2年生が14名も合格、順調にいけば3年生のうちに合格できるというわけです。慶應義塾・早稲田・一橋・立教には1年生で合格した強者がいます。いったいいつ勉強したのだろう。

関西の私大の状況を見てみますと、関西大=0、関西学院大=1、同志社大=4、立命館大=2、と大変厳しい結果となっております。しかし、司法試験に限らず法律の知識が生かせる専門的な資格が他にもありますので、「法学部に進んで、法律家になる」といった夢を持つ高校生は、この数字を見て、その夢をあきらめることのないようにしましょう。(続く)

2019年度 司法試験 合格者数 その1

2020年6月3日 水曜日

新型コロナウイルス感染症は各方面に大きな影響を与えましたが、今年度は5月13日~17日の4日間で実施予定だった司法試験も延期となっています。薬剤師国家試験は12時間40分と書きましたが、司法試験は何と中1日はお休みの4日間で合計試験時間が19時間55分という地獄のような試験で、法科大学院出身者と予備試験合格者しか出願できませんが、それでも合格率は30%前後です。かつては最後に口述試験がありましたが、現在は無くなりました。一方、法科大学院を経ずに司法試験を受験するために合格が必要な予備試験では、短答式の4時間半の試験(こちらも5月17日から8月16日に延期)の合格者が11時間半の論文式試験に進み、その合格者が口述試験(2日間)に進む、という3段階になっており、こちらの最終合格率は4%前後となっています。つまり法科大学院に入って2~3年勉強してから受験するのか、自分で頑張って予備試験に挑戦するのか、選択できるというわけです。(続く)

【第105回】薬剤師国家試験 合格者数 その2【2020年】

2020年6月2日 火曜日

 募集人数が大きな薬学部、それに伴って国家試験合格者数も多い薬学部は存在感があるのですが、大学としては人数というより、「合格率」も重視しています。そこで、新卒の合格率で並び替えてみました。こちらが合格率90%以上の30校です。

 (その1)で話題にした東京大学。現役では9人しか出願していないけど、全員受験して、全員合格だったのね、ほお・・・。という見方もできますが、人数、割合共にすごいな、と思うのは、静岡県立大、国際医療福祉大、名城大、東京理科大、明治薬科大、近畿大あたりでしょうか。人数ランキングでは上位だった近畿圏の京都薬科、大阪薬科、神戸薬科もすべて合格率90%以上をキープ。大したものです。というわけで、次年度入試でもこのあたりの薬学部の人気が衰えることはありませんので、受験生は早めにこれらの大学の入試科目を調べて、頑張りましょう。

 因みに、入試科目が多い大学のほうが、国家試験合格率も高いという傾向もあります。したがってあまり早くから科目の絞り込みをしないように、と付け加えておきます。

【第105回】薬剤師国家試験 合格者数 その1【2020年】

2020年6月1日 月曜日

 新型コロナウイルス感染症により2月末に学校の一斉休業が要請されましたが、その1週間前の滑り込みのタイミングで、第105回薬剤師国家試験が全国9都道府県の13会場で実施されました。2日間朝から夕方まで、総試験時間12時間40分というハードな試験です。ここ近年合格者数は1万人前後で推移していますが、3月24日に発表された今年の結果では受験者の69.58%にあたる9958名が合格しました。 因みに日本では薬剤師の国家試験を受験することができる大学は73校あります。そこで学校ごとの合格者数の順番で並べてみました。

 東京薬科、京都薬科、大阪薬科とベスト3はマンモス私立薬科大学が並びます。この3校だけで約1000名。全体の1割を占めることになります。近畿圏では6位に神戸薬科、16位に神戸学院、17位に武庫川女子、20位に摂南と有名どころが並んでいます。一方、募集人数が少ない国公立はランキングでは下のほうとなり、最も受験者も合格者も少ないのは東京大学、というわけです。実は東京大学薬学部は薬剤師の養成というより、研究に比重が置かれていますので、例年受験者はこの程度となっています。(続く)

高円宮杯第71回全日本中学校英語弁論大会

2019年12月23日 月曜日

11月29日に東京有楽町「よみうりホール」で「第71回全日本中学校英語弁論大会」の決勝大会が行われました。この大会は1949年から始まり、後援には外務省や文部科学省、NHKなどがついているという日本最大かつ最も権威のある英語弁論大会です。 約10万人の中から各地区予選を勝ち抜いた151人が中央大会に進み、最初の2日間の間に27名に絞り込まれ、最終日の決勝大会で「高円宮杯」を目指すという大会です。持ち時間は5分。議題は自由ですが映像などは使用できませんので、まさに弁論のみの戦いです。

https://jnsafund.org/result20191129(公式ホームページより転載)

今年、この大会で優勝したのは和歌山の開智中学校の澤井さん。おめでとうございます。もちろんご本人の努力も大きいと思いますが、検定教科書をすべて利用し、とことん深堀りをする授業に加えて早朝読書や新聞を使った調べ学習など徹底した国語教育の成果なのでしょう。

近畿圏からはノートルダム女学院中学校の三林さんも7位に入賞しています。因みに三林さんは京都府代表として3年連続出場していますが、帰国子女というわけでも、渡航経験があるわけでもなく、(正確には中3の夏休みに3週間、学校での海外研修に参加したのみ)平素は学校 で行われているオンライン英会話を楽しんでいるという、話してみても普通に明るい女子です。但し、日本語でのプレゼン能力も高いお子さんで、生徒会でも副会長として活躍中です。

英語の4技能が重要だといわれていますが、中学校の時期にここまで英語が使いこなせるようになっていると、更に様々な問題意識を持つことができ、その後の進路選択にも活かすことができるでしょう。 このような大会に積極的にエントリーしているということも、学校選びの材料の一つではないでしょうか。

(こちらは和歌山の開智中学校・高等学校の前に掲げられている横断幕です。この写真も「中の人」撮影・・・。)

消費税と学費

2019年9月24日 火曜日

 来週火曜日には消費税率変更ということで、学校の授業料も上がるの?というご質問がありましたのでお答えしましょう。 国税庁のホームページ(https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/6233.htm)にこのように書かれています。

「消費税は商品の販売やサービスの提供などあらゆる取引を課税の対象としています。しかし、学校教育については、社会政策的配慮から授業料、入学検定料、入学金、施設設備費、在学証明書等手数料、検定済教科書などの教科用図書の譲渡を非課税としています。」

なんだぁ、関係ないのかぁ、と安心しながら読み進めていくと、

「参考書、問題集等で学校における教育を補助するための、いわゆる補助教材の譲渡については、学校が指定したものであっても、非課税にはなりません。」

タブレット端末購入が必要な学校の場合、その費用には課税されています。制服も体操服も課税対象ですから影響を受けます。

「給食代、スクールバス代として別途徴収している場合は、非課税にはなりません。」

通学定期も課税されているわけですから影響を受けます。また値上げされる学校食堂もあるでしょう。というわけで、増税の影響を最小限にするには電車を使わずに通える範囲の、制服が無い公立高校にお弁当を持って行くのが一番。ということになりそうですが、やはり学校の教育内容や理念などを総合的に見て、より御本人さんにふさわしい学校を探しましょう。

開成進学フェア2019 (滋賀会場・大阪会場) 来場者数報告

2019年9月17日 火曜日

いきなり業務連絡です。開成進学フェアにご出展いただいた学校の皆様、ありがとうございました。来場者数速報ができましたのでお知らせしておきます。報告書等にご活用ください。

9月15日(日)滋賀会場  371組656名

9月16日(祝)大阪会場 2031組4072名

大阪会場ではついに駐輪場があふれて、ご近所にご迷惑をおかけしたようです。すみません。因みに大阪会場3階でご協力いただいた「ミスタードーナツ」はお店の製造限界を超えて途中欠品時間があったにもかかわらず1307個売れたそうです。こちらもありがとうございました。

大学共通テストに「情報Ⅰ」

2019年5月22日 水曜日

文部科学省が2024年度の大学入学共通テストにプログラミングなどを扱う「情報Ⅰ」という科目を導入する方針で検討を始めた、とのニュースが入ってきました。

内容もさることながら、今までの紙での試験ではなく、音声や動画を使った出題も可能なCBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)と呼ばれる方式だというところが心配です。

実は大学入試センターはすでにモデル問題を作成し、タブレットやパソコンでの実証テストを始めていますが、一斉に試験を行おうと思えば50万台以上のパソコンかタブレットが必要となり、保管場所やメンテナンスでも莫大な金額がかかることになります。年に1度の試験のためにそこまで投資するのも非現実的ですので、年内に複数回に分けて、大学で実施することを検討しているそうです。

2021年、2022年には全国規模の試行調査を行うとのことですので、今の中3か高1の学年がおこなうことになります。本格導入の2024年といえば今の中1の学年になりますので、この学年が高校に入学すれば必修科目でもある「情報Ⅰ」にも本格的に取り組むことになるでしょう。