コロナ禍と公立高校入試(その2)

2020年11月17日 火曜日

昨日の続きです。次はこの表の一番下の集計行をご覧ください。(昨日と同じ表をもう一度貼っておきます)

これは47都道府県のうち、どの単元が試験範囲として採用されているのかを表した数字です。ご覧のように、公民の(私たちと国際社会の諸課題)、数学の(資料の活用)、理科の(自然と人間)(下に★印をつけています)は半分以上の都道府県が試験範囲にしませんよ、ということになります。いずれもこれからの社会の諸課題を考えるうえで大きな意味のある単元で、答えのない課題を扱うという意味でも指導要領改訂の看板の一つであったような気もするのですが、教科書の最後のページになっているためか、このような扱いになってしまいました。確かに今年はコロナ禍の影響による授業時数の減少という異常事態ではありますが、時代の変化に合わせるべく数十年にわたる議論とそこで決められた指導要領に基づいて作られた検定教科書の単元が、軽く扱われているようにも見えます。もちろん、都道府県によっては、これらの単元は勉強しなくていいわけではなくて、学校では扱いますよ、と大きく注記されているところもありますので、年度末の忙しい時期ではありますが、何とか入試から除外された単元についての学習も促すような機会を中学校でも卒業までに作っていただきたいものです。

ところで、山口県は、除外範囲が無い(正確には選択問題を作って乗り切る)ばかりか、新指導要領に含まれる移行措置の内容まで一部入試の試験範囲に含まれています。山口県、攻めてます。

一方、福井県は英検の加点制度を取りやめました。これも英語4技能を重視しようという今の流れと反対向いているように見えますが、実は代わりに独自のスピーキングテストを導入する準備をしているとのことですので、こちらも一歩先に進んでいます。と、このように義務教育であっても地域ごとの特色が出ています、というお話でした。