安全が学べる大学

2016年9月21日 水曜日

我々は自然災害やテロなどの危険に常にさらされているはずですが、特にその危険を意識することなく生活しています。しかし、いざ何かが発生した時に、その対処をする人材が必要なはずです。例えば火災なら消防、事故なら警察、災害は気象庁とそれぞれ別の組織が対処しているわけですが、横断的にそれらを併せて研究しているところはありませんでした。

2004年、千葉科学大学に日本で初めて「危機管理学部」が設置されました。危機管理といえば危険から逃れる、危険を防ぐといった意味が強い言葉ですが、危機が起こる前の管理を「リスク・マネジメント」、危機が発生した後の管理を「クライシス・マネジメント」と呼んで区別し、さらにその中で場面に応じての対処法を研究するという学問分野です。

2010年、関西大学に社会安全学部が設置されましたが、2011年に発生した東日本大震災の検証と復興に大きな役割を果たしました。またその後の調査や研究は、報道が災害発生後の被害状況を伝えるだけでなく、そこにいる人にさらに被害を拡大させないような避難情報を流すようになるなどの影響を与えました。このようなことから、防災にかかわる人材育成の必要性が注目されるようになってきました。今年度には日本大学に「危機管理学部」が設置されましたが、さらに来年度には倉敷芸術科学大学にも「危機管理学部」が設置されることになっています。

 

 

 

倉敷芸術科学大学のパンフレットによりますと、安全管理や情報セキュリティーなど企業に関連するものと、防災や災害時の支援など地域にかかわるものといった二つの視点から危機管理が学べるようです。

まだ歴史の浅い学問分野ですが、これからはこのような知識と経験を有する人材の需要はさらに高まってくることでしょう。

 

医学部と学費のお話

2016年9月20日 火曜日

先日も地方の医師不足に関する対策を、政府が検討するというニュースがありましたが、今回は医療の質を長期的に維持するための医学部を学費の面からみてみましょう。国立大学では何学部でも学費は同じなのですが、私立の場合、医学部の学費が極端に高くなっています。

そこで、どの程度違うのかを一覧にしてみました。入学金も100万、200万といった金額になりますので、学費だけでなく、初年度納入金という比較をしてみました。初年度納入金が高い方から順番に並べています。

※学費は年額です。国立では入学金と学費を合わせた金額が初年度納入金になりますが、私立は「教育充実費」等の名目での金額が加わりますので、初年度納入金はそれ以上の金額となっています。

 

初年度で1000万円を超える大学が4校あります。設備や環境も良いといわれる大学ですが、それにしても大変な金額です。入学金が20万円と、ほかの学部と同じ金額に抑えている慶應義塾大学は医学部の最難関と言われ、東京大学理科Ⅲ類が滑り止めだといわれています。かつては1千万円級だった順天堂大学は290万と私立大学最安値を付けたために難易度もはるかに上昇しました。

参考までに公立大学2校と国立大学の学費も載せておきましたが、これで国立の医学部の難易度がなぜこれほど高いのかがお分かりいただけると思います。

医学部を目指している皆さんは、私立大学と国立大学の初年度納入金の差を、自分の1年間の勉強時間で割ってみましょう。自分の勉強の「時給」がどれほど高いのかがよくわかります。いい仕事をしましょう。

ちなみに防衛医科大学のように、学費は無料なだけでなく給料までいただけるところもあります。もちろん最難関です。卒業後9年間は自衛隊に入隊しなければならないという縛りがありますが、学費のために医学をあきらめなければならなかった人でも医師免許を取ることができるわけです。

大学を学費という観点からみると、難易度の違いや変化を知ることもできます。色々な方面から大学を調べてみると良いでしょう。

 

 

大学入試関連、お得な説明会情報

2016年9月14日 水曜日

大学がオープンキャンパスと呼ばれる見学会や説明会など、実際に大学入試を考えている人に大学を見てもらい、その魅力を感じてもらおうという企画を行うことが一般化してきましたが、最近ではさらに手厚い企画も見られるようになってきました。

①オープンキャンパスに無料の模試をセットにした摂南大学

資格取得に強いといわれる摂南大学。今年の定員も1,810名と大きな規模を誇っていますが、その約半数は公募推薦やAO入試といった日程の早い推薦入試での募集となっています。ただし、公募推薦入試は科目数が少なく、範囲が限られるなど出題傾向も学校によって大きく異なるため、どのような準備をすればいいのか、何を勉強すればいいのか、なかなかわかりにくいという欠点があります。そこに目をつけた摂南大学では、公募推薦の出題傾向に対応した模試を無料で実施するという、受験生の心を掴む企画を考えてくれました。模試といっても判定が出るわけではありませんが、実際に受験する大学の中で、本番と同じ傾向の問題に取り組むことができるのは大きいです。もちろん模範解答と解説の冊子も配布されます。先着1,000名限定ということですので、公募推薦受験をお考えの受験生はお早めに。

②公募推薦対策講座を大学で実施する京都産業大学

今年度から理学部の中に「宇宙物理・気象学科」を増設し、次年度から「現代社会学部」を新たに設置するという、話題に事欠かない京都産業大学ですが、その話題性のみならず、公募制推薦入試対策講座を無料で開催し、併せて個別相談会も行うという、受験準備のお手伝いまでしてくれるという催しが開かれます。
これも公募対策の制度説明のみならず、出題傾向からそのための勉強法まで説明してくれるという手厚さです。しかも、会場が近畿圏を中心に11か所、遠くは香川県の高松、岡山といった広い範囲の外部会場を借りての開催ですから力が入っています。京都産業大学が第一志望の受験生はもちろん、併願として公募推薦を考えている受験生も受講するとよいでしょう。こちらは事前申し込み不要とのことですが、会場ごとの日程や時間を確認して遅れないように参加するとよいでしょう。

このように大学のHPを細目にチェックしているとお得な情報が得られます。ほかの大学を志望している受験生も、大学独自の入試関連の説明会などの催しを情報収集しておきましょう。

 

 

阪南大学にお邪魔してきました。

2016年9月9日 金曜日

大阪府松原市の阪南大学は、51年前の1965年に設立された文系の大学です。創立当初は商学部からのスタートですが、今では「経済学部」「流通学部」「経営情報学部」といった商業系の学部に加えて、「国際コミュニケーション学部」「国際観光学部」の5学部を擁する、学部学生だけで5000名を超える規模となっています。(「国際観光学部」のみ少し離れたキャンパスです。)実学を重んじる「キャリアゼミ」などの教育によって就職率も高く、実就職率では関西で4位だそうです。どのような大学なのでしょうか。

大学設備をいくつか案内していただきました。

まず、人工芝のグラウンド。この日はアメフト部が練習をしていました。最近は建物ばかりの大学が増えてきましたが、このように校地の真ん中に配置されたグランドのおかげで周りの建物からの見晴らしも良くなっています。

 

50周年記念館という真新しい建物の3階に学生課があります。銀行の窓口のように番号札を取って順番に待つ方式です。大学の事務室も進化したものです。その外に災害用の備蓄倉庫があります。水害も想定してあえて3Fに設けたそうです。

 

2階には「スチューデント コモンズ」という小集団学習やネイティブによる英会話を行うスペースがあります。いくつかのガラス張りの小部屋は壁一面がホワイトボードになっており、議論や授業にも使われるそうです。

 

阪南大学といえばJリーガーを40名以上輩出するほどのサッカーで有名な大学ですが、スケート(ショートトラック)においても、オリンピック選手の出身校として知られています。長野五輪で金メダルを取った西谷岳文選手、冬季五輪に3度出場している小澤美夏選手のユニフォームも展示されています。

 

4階は記念ホールとなっており、講演などにも使える仕様となっています。

 

勉強の設備と同じくらい欠かせないのが食堂です。学内には食堂、カフェテリアが3か所あります。大学生協の購買では文具や書籍はもちろん、スーツまで注文することができます。

最後は図書館。2層の開架式の図書館です。DVDの鑑賞ができるソファーのコーナーまであります。社会での「実践力」にこだわる大学らしく、ビジネスソフトのマニュアル類なども充実していました。

次の日曜日に今年度最後のオープンキャンパスが行われます。高校生の皆さんは、この就職に強いという大学を自分の目で確かめてみてはいかがでしょうか。

 

 

大学入試センター試験に代わる、新テストについて

2016年8月25日 木曜日

センター試験は1990年から実施されてきた大学入試に関わる試験ですが、2020年1月実施分を最後に廃止されることとなりました。それと同時に、大学入試制度も一新されることが決まっています。では、大学入試はどのように変化するのでしょうか。

まず、新しくスタートするのが「新テスト」とも呼ばれる「高等学校基礎学力テスト」と「大学入学希望者学力評価テスト」の2つです。前者は、高2・高3での学習到達度を図るテストで、後者は、実質的に現在のセンター試験に代わるテストです。

では、この新制度による入試はいつから実施されるのか、誰が対象になるのか、ご存知でしょうか。答えは、大学入試に関しては「2020年度から実施される」「2021年の春に大学に入学する生徒から対象になる」のですが、高等学校基礎学力テストは先行実施されます。つまり、今の中学生は新制度の対象になるのです。

 

文部科学省も十分な準備を行った上で実施するものと考えられますが、受験生や保護者の中には、大学入試制度の大改革による混乱を避けるため、内部進学で大学に進むことができる附属や系属の私立中学・高校を希望するケースも増えるかもしれません。

従って、今の中2生が高校を受験する2018年度の高校入試や、中学入試の動向にも変化が見られる可能性があります。

まだ決定していないことも多い新制度。今後、どうすればいいのか不安に思っている人もいるでしょう。とにかく今は、関連情報にアンテナを張り、状況が変わっても焦らず対応できるよう学習面の準備が必要になるでしょう。

 

関関同立 大学合格ランキング②

2016年8月23日 火曜日

前回に続いて、関西の有名私大にどの高校から「現役で」合格者、進学者が出ているかをお伝えしたいと思います。このブログ内のリストは「サンデー毎日」7月10日号から引用しています。私立高校の学校名には薄く色を付けています。進学者数÷卒業生数=進学率の高い順にランキングしています。

同志社大学は京都市、御所の北側に本部(今出川キャンパス)があり、京都府南部の京田辺市に京田辺キャンパスがあります。2012年までは1・2回生は田辺、3回以上は今出川と学年によってキャンパスがわけられていましたが、今では京田辺キャンパスは理工、文化情報、生命医科、スポーツ健康、心理、グローバルコミュニケーションの6学部の拠点となり、学年によるキャンパス移動は無くなりました。今出川が8学部ですから、二つの拠点の規模は近いといえます。

 

ランキングを見ると、京都の大学であるにもかかわらず、京都の高校は10位の1校のみです。広い範囲から受験生を集めていることがわかります。特に兵庫県から3校もランクインしているのが注目されます。関西学院と同じようにミッション系の学校ですので英語が得意な生徒が集まるのでしょうか、関西学院でトップだった兵庫県立国際高校もランクインしています。

 

立命館大学は京都市北西部、金閣寺や龍安寺に近い「衣笠キャンパス」が本部で、1998年に滋賀県草津市の「びわこ・くさつキャンパス」(BKC)、昨年2015年には大阪府茨木市の「大阪いばらきキャンパス」(OIC)が開設されました。学部レベルでも2008年に生命科学部・薬学部が、2016年に総合心理学部が新設され、2018年には食科学部の新設予定と、拡大路線の大学です。

大阪いばらきキャンパスのある茨木市の隣、高槻市のトップ高である大阪府立三島高校が1位です。茨木市のNo2高の大阪府立春日丘高校もランクインしています。いずれも茨木キャンパス新設の影響でしょう。2位の東大津高校はびわこ・くさつキャンパスから最も近い県立高校です。京都の紫野も比較的衣笠キャンパスに近い高校です。地理的には離れている和歌山から初芝橋本高校がランクインしているのはこの高校には立命館コースがあるため例外ですが、他の大学に比べると全国から広く受験生を集めています。

 

このように並べてみると高校のカラー、大学のカラーが見えてきます。高校選び、大学選びの参考にしてみては如何でしょうか。

 

関関同立 大学合格ランキング①

2016年8月22日 月曜日

関西の有名私大にどの高校から「現役で」合格者、進学者が出ているかをお伝えしたいと思います。

関西大学は高槻市の2学部(ミューズキャンパスの「社会安全学部」、高槻キャンパスの「総合情報学部」)と堺市の1学部(堺キャンパスの「人間健康学部」)以外は吹田市の千里山キャンパスに10学部が集結している大学です。今年度130周年を迎えるそうです。(あと76日だそうです。)

このリストは「サンデー毎日」7月10日号から引用しています。進学者数÷卒業生数=進学率の高い順にランキングしています。

 

御覧のように関西大学は1位から10位まですべて公立高校で占められています。そのうち大阪府立が9校と大阪からの受験生が多いことが表れています。但し同じ吹田市にある高校からは北千里、隣接の豊中市の高校からは桜塚がランクインしているだけで、大阪府下の広い範囲に、ランクインした高校が分布しています。

自主性を重んじる自由な校風を特徴とする大阪府立高校が多くランクインしていますが、現役合格者数をこれほど輩出しているということは、高校での授業のレベルや補習などの対応が進んでいるということだと思います。

 

関西学院大学は、神戸のイメージが強いのですが、実は少し離れた兵庫県西宮市に本部があり、そこに11学部のうち9学部が集中しています。少し内陸に入った三田市に「総合政策」と「理工」の2学部が設置されています。

私立高校の学校名には薄く色を付けています。こちらのランキングには私立高校が3件入っています。1位の兵庫県立国際高校と3位の芦屋国際中等教育学校は同じ敷地内にある学校で、関学のある西宮市の隣の芦屋市にあります。いずれも国際教育、語学教育で有名な学校です。同じように6位の小林聖心女子学院も徹底した英語教育で定評があります。文部科学省からSGU(スーパーグローバルユニバーシティー)に指定されている関西学院大学には、やはり英語に強い高校からの合格が多いようです。(続く)
 

 

立命館大学オープンキャンパスに行ってきました

2016年8月9日 火曜日

8月6日・7日両日に立命館大学でオープンキャンパスが開催されました。立命館大学は、京都の衣笠、滋賀の南草津、大阪の茨木キャンパスと3か所に拠点が分散しています。今回は滋賀県草津市の「びわこ・くさつキャンパス(BKC)」にお邪魔してきました。

 

まずは生命科学部の説明に参加してみました。生命科学部には「応用化学科」「生物工学科」「生命情報学科」「生命医科学科」と4つの学科があります。昨年の定員は合計で280人と立命の中では少人数の学部なので、参加者はそんなに多くないだろうと思っていましたが、説明会場は開始20分前にはすでに御覧のような状態で熱気にあふれていました。生物が好きな高校生がこんなにいるとは!

 

希望学科別に席が決められています。実はこの説明の後、研究室の見学ができる企画があるのですが、人数制限があるようです。その限定チケットは早く来たもの順に配布されるのです。つまり、こういった企画がある時には早く参加しなければ損をします。

 

生命医科学科の研究室を見せていただきました。そこは実際に学生たちが実験・研究を行っている研究室です。分析装置など最新の機器も説明してもらいました。日曜日なのに先生方、ありがとうございました。

 

さて、お昼になりました。学食も営業しています。3種類あるランチの一つをいただきました。これだけで、400円でおつりが来ました。しかもおいしい。平日は朝ご飯が100円で食べられるそうです。というわけで、オープンキャンパスでは食堂やカフェなどの施設にも出向いて実際に試食してみましょう。

お昼休みには学生サークルの紹介などのイベントやドリンクの無料配布などウエルカム感満載の企画を楽しませていただきました。案内をしてくれた学生さんたちもご苦労様でした。

 

教科(科目)が変わる?(新指導要領 答申案より)

2016年8月8日 月曜日

大学入試改革について、大学入試センター試験が2020年に廃止されるなど大きな変更が報道されていますが、実は小学校から高等学校までの指導要領も大きく改訂されることになっています。小学校では平成32年(2020年)、中学校では平成33年(2021年)、高等学校では平成34年(2022年)から順次適用されることになります。

文部科学省は8月1日、学習指導要領の改定作業を進めている中央教育審議会の特別部会に、答申に向けた素案となる「審議のまとめ」案を示しました。小学5、6年の英語を教科化し、3、4年で英語に慣れ親しむ「外国語活動」を導入するという内容も含まれています。「道徳」の教科化と合わせて大きな変更だといえるでしょう。

高等学校ではもっと大きく科目の編成が変化することになります。

以下の図は新指導要領に向けて、現在文部科学省が検討している、教科・科目構成についてです。

 

今までの指導要領の改訂は、扱う内容を変更する、単元を扱う学年が変化する、という変化が主で、科目名まで変更するというのは限定的だったのですが、今回の改定では科目名も大きく変更されます。また必修科目のカバーする範囲も広くなります。

 

大きいところでは、日本史Aと世界史Aが合体して「歴史総合」という必修科目になるというのがあります。近現代の基礎を中心とした分野であっても合体することによって、大量の知識量を問われる教科になることは避けられないと思います。

国語も今までは「現代文」とされていた科目が「論理」と「文学」と明確に分けられ、それぞれ教科化することになります。論説文が不得意でも小説で得点しカバーしていた高校生は、今後は「論理国語」という論説文だけの科目の試験で苦労することになります。
(http://twinavi.jp/topics/tidbits/57a05996-0898-49e4-a2a5-754b5546ec81 より転載)
現代社会は倫理・政経の内容の一部を取り込んだ公共という科目に統合され、選挙権年齢の引き下げに伴って必修化されます。数学も中学校内容の増大に伴って消えていた「数学C」が復活するなど、内容の大きな増加に伴って科目の変更が考えられています。

 

さて、6年後の高校生になる現在の小学4年生はこのような科目構成の高校に進学することになるわけです。このような厳しい学習内容を乗り切っていくためにはそれを構成している科目の基礎をできるだけ早い時期、つまり今から身に着けることをお勧めします。そのためにはまず思考言語としての「国語」力をつけるために、新聞の購読などを通して多読・速読力と現代社会の知識を身に着けることが必要になります。また、理科・社会の基礎知識も大切になりますし、正確で、効率的な工夫ができる計算力なども必要でしょう。

国際社会では学歴よりも、正確な知識と的確な判断力、それを伝達できるプレゼンテーション能力の高い人材がリーダーとして求められています。

ちなみに中学校に関して、今回の答申では科目が変わるほどの大きな変更はありませんが、小学校で英語が教科化されることから、中学英語の内容は一新されると見込まれます。

 

大学教員の自校出身ランキング

2016年8月3日 水曜日

大学の教員も一部の例外を除き大学を卒業していますが、その大学が今勤務している大学と同じ、つまり自分の出身大学で今教鞭をとっている教員は俗に「純血」と呼ばれています。そしてその教員の比率、つまり自校出身者の割合は「純血率」と言われています。今回はそのランキングを見つけてきました。その中から40%以上の大学だけを抜粋しました。

(AERAムック「大学ランキング2017」朝日新聞社より)

 

(専任の教授・准教授・助教以上、私立大学は常勤講師100人以上の大学を抽出しています。)

この比率が高い大学を、自分の弟子で固めているという点で競争原理が働かない、研究機関としての大学の実力が伸びないといった理由でマイナスに評価する人もいます。しかし、医・歯・薬といった医療系の学部の定員が多い大学名を黄色に塗ってみると、この28位までの中で22校、つまり大半を占めていることがわかります。また、それ以外の6校に関しても、慶応、早稲田は私学のトップですし、残りの4校もそれぞれ体育、農業、美術、ファッションデザインの分野ではトップレベルの大学です。つまり、この比率が高いことは専門性が高い分野であることに加え、その大学の高い教育力・研究力によって人材を育てる環境が揃っており、それ以外の大学からその分野の力量を持った人材を採用するのが困難だという見方もできると思います。

因みに国立大学で最も純血率が高いのは東京大学です。グローバル化を進めており、外国人教員の割合が増えたため、純血率は近年大きく下がったといわれますが、それでも68.10%とトップレベルです。

さて、この表には入っていませんが、関西の私立大学(医歯薬以外)でトップはどこでしょうか。

 

関西の私立の中では入試の難易度も一番高い、「同志社大学」で、36.51%となっています。そのあと大谷大(仏教・哲学)・京都外国語大(スペイン語・ポルトガル語・イタリア語・・・)とそれぞれ専門性の高い分野を持った大学が続きます。大学教員を自前で育てることだけが大学の教育力を表すものではありませんが、こういった指標も大学選びの材料の一つにしてみてはいかがでしょうか。