関西大学中等部・高等部にお邪魔してきました③(安全編)

2016年4月6日 水曜日

4月から「普通科」に学科変更されますが、6年前に「安全科学科」として発足したこの学校は、隣接する関西大学の社会安全学部も含めて「安全」がキーワードになっています。

まず、校舎入口はオートロックになっており、ICカードを持った生徒、教職員以外は入ることができません。コンピュータールームなどもすべてICカードで入室・退室が管理されています。体育館やプール、グランドの前それぞれに更衣室が設けられており、生徒が私物を教室に放置することが無い仕掛けになっています。

校舎が上下に積み重ねられているので、生徒が階段で移動することも多いのですが、その階段や廊下にも工夫が凝らされています。

災害時の避難を想定して、最も生徒で混雑する中央部の階段付近には余裕のあるスペースが設けられています。

階段下での将棋倒しを防ぐために途中で絞り込む場所があります。


中学生用のフロアでは生徒が走り回って階段から落ちても大きな怪我をしないように、あえて階段の途中を折り返しています。

職員室はガラス張りで、向かい側が保健室となっており、その出入りが常に見えるようになっています。

怪我などで不自由な生徒も安心して通学できるように、学校としては珍しい「多目的トイレ」が各階に設けられています。

体育館では熱中症を防ぐためのスポーツ飲料の自動販売機や

冷却しなければいけない怪我などに備えて、製氷機が備えてあります。

 

温水プールは、使用する学年に合せて深さを変化させることができる設備があり、プールでの事故を防いでいます。

このプールの水は24時間濾過されており、加えて災害時には市民の飲料水に転用することができる濾過装置まで備えています。その横は災害用物資の倉庫となっています。

人工芝のグランドも水はけがよく、降雨後でも避難場所として使うことができます。

 

災害時の救援、支援のための道具や物資が展示されたスペースも有り、生徒にも「安全」に関する興味関心が湧くような仕掛けがなされています。隣の社会安全学部の大学生によって組織された消防団もあるそうです。

高校では「安全科学科」として、例えば火災時に水をかけてはいけない物質を学ぶ授業や、環境問題に関する英語の文献を読むなどの授業が行われてきたそうですが、今年の同志社の英語の長文では地球温暖化に関する雑誌記事が出題されるなど、実際の入試問題の役に立つというメリットもあったそうです。

今までにも日本のみならず海外でも学校への不審者の侵入や、大規模災害にともなう被災など生徒が犠牲になった痛ましい事件もありました。めったにないことだからと放置すること無く、生徒のみならず、市民への「安全」を備えているという学校だといえるでしょう。