大阪私立中学校 2020年度入学者数 伸び率ランキング(その2)

2020年6月11日 木曜日

10位 東海大学付属大阪仰星=こちらはちょっと変化球。昨年度のうちに先生方が集まってこれからの学校はどうあるべきなのかを議論し、教育目標について各分野別にまとめたものを作成しました。この作業を通じて学校のあるべき姿の共有が進み、先生方の一体感もさらに深まったようです。もちろん盛んなスポーツ系の部活人気も手伝って、多くの受験生が集まりました。

9位 四天王寺=国公立や医学部への進学実績では大阪トップの女子校ですので、安定した入学者数をキープしています。医学部進学など理系のイメージが強い学校ですが、次年度は海外大学も目指すことができるコースを新設、グローバル教育にも力を入れています。

8位 常翔啓光学園=公式試合にも使えるクライミングウォールでも知られる常翔啓光学園ですが、同じ法人である大阪工業大学とのコラボによるアクティブラーニングの授業を見学させてもらったことがあります。多彩な教育も支持されて昨年度から安定基調に入っています。

7位 初芝立命館=人気の立命館コースに加えてそれ以上の進学を目指す新コースも募集にとってプラスに作用しました。3年ほど前から大学付属・係属系の中学入試は大人気ですが、大学進学に有利、というだけでなく、多様な選択も可能なコースへの人気がここでも証明された形です。

6位 初芝富田林=真面目な進学校としての伝統に加えて、2019年度から就任した新校長先生のリーダシップによる学校改革や積極的な広報活動が実を結びつつあります。国公立を中心に進学実績も連続上昇中。全国レベルの書道部や写真部など多彩な文化部の活動も魅力です。 (続く)

大阪私立中学校 2020年度入学者数 伸び率ランキング(その1)

2020年6月10日 水曜日

大阪府下の私立中学校の入学者数がまとまりましたので、分析してみました。中学校募集については定員も少なく設定している学校もありますので、前年比だけだと全体状況がわかりにくいと思い、 2015年度~2019年度までの5年間の平均と今年度の入学者数を比較してみました。そして、その「比」= 2020年度÷2019年度までの5年間平均、という数値でランキングを作り、その値が120%を超える15校を挙げてみました。

カウントダウン形式で・・・

15位 プール学院=「キリスト教大学推薦」コース人気に加えて国公立にも20名合格( 2019年度)と進学校としての実績も手伝い、堅調に推移しています。英語教育、異文化理解、宗教音楽教育など、この学校独自の教育活動も支持されている様子です。

14位 常翔学園=このエントリーでも何度か紹介しましたが、ICT教育と大学進学実績といった車の両輪で成長を続けている学校です。隣接地に新たに校地を取得、教育環境の向上も期待されています。

13位 箕面自由学園=かつては中3段階で他校を受験するのがメインでしたが、高校の進学実績向上に伴って、六年一貫に舵を切りました。この学校は複数ある全国レベルの部活での知名度に加え、近年進学実績でも頭角を現してきました。

12位 大阪薫英女学院=英検取得を第一に考えるなら、大阪ではこの学校一択です。20年以上にわたる徹底した検定対策のノウハウと毎年英検1級取得者を出し続けている実績は、ようやく英語4技能の重要性が語られる今日脚光を浴びた形です。

11位 関西大倉=創立120周年行事として新校舎の建築の進む関西大倉ですが、先行きの見えない大学入試改革に対し、六年一貫の進学校が見直されたというのもありますが、ここ1年で学校側の情報発信量が増えたというのも原因の一つでしょうか。(続く)

公認会計士に近い大学(その2)

2020年6月9日 火曜日

一方の早稲田もここ55年連続で2位をキープ。こちらも2位だとはいえ、毎年100名前後の合格者数を出しています。こちらは1904年に「商科」が設置されて以来117年の歴史を誇る商学部は10年前に校舎も建て替えられ、最新学習環境で幅広く企業会計を学ぶ場となっています。加えて学内には「会計学会」という公認会計士を目指す巨大なサークルがあり、オフィスツアーや明治大学との懇親会、共同での論文発表会等行っているそうです。そう思ってもう一度実績を見ると、明治と早稲田の実績を足せば慶應義塾と抜きつ抜かれつの関係ですから、この2大勢力が首都圏で競い合っている状況が見えてきます。

それでは東大や一橋とNo3の座を毎年争っている中央大学はといえば、こちらは学内にある「経理研究所」という組織が資格取得を目指す学生向けの講座を開講しており、特に最難関の公認会計士試験に向けては個別に指導を行うなど、大学自身が力を入れています。2019年度合格71名中、この研究所出身者は56名とのことですから、外部予備校よりも実績を出していることがわかります。

というわけで、この4大学、「OBの慶應義塾」、「学生組織の早稲田・明治」、「大学サポートの中央」とそれぞれ勝ちパターンが違いますが、公認会計士を目指すのであればこれらの大学が近道であることは間違いなさそうです。

公認会計士に近い大学(その1)

2020年6月8日 月曜日

こちらの試験も司法試験と同じく、コロナウイルス感染症の影響で、試験日程が延期されている「公認会計士試験」についてです。こちらも合格率10%前後、合格者の平均年齢は25歳以上と、難易度の高い資格試験です。 この試験、司法試験(の予備試験)と同じように受験資格が無いので、大学を卒業していなくても受験は可能なのですが、企業会計を監査する=お墨付きを与える、という極めて専門性の高い資格であるため、資格取得のための予備校にも在籍するダブルスクールをするケースも多くみられます。しかし、それなら大学ごとの強弱が出ないはずですが、ひとまず、こちらのグラフをご覧ください。

今年のベスト5大学の、過去20年間の推移(東京大学の2014年はベスト10に入っていなかったため、数値がわかりません)ですが、慶應義塾が常に首位です。因みに過去50年の記録を見ると、1971年(昭和46年)と1973年(昭和48年)の2回、中央大学に首位譲ったことがありますが、のこり48回は慶應義塾がトップと圧倒的な強さを誇っています。 この強さの秘密は、「公認会計士 三田会」という公認会計士の1割を占めるといわれる巨大なOB組織の存在が挙げられます。OBによる現役学生向けの講演やサポートと大学のカリキュラムが組み合わされ、慶應義塾の学生向けのスクールも複数立ち上がるなど、ほかの大学に見られない手厚さです。(続く)

2019年度 司法試験 合格者数 その3

2020年6月5日 金曜日

では、もう一つの道、法科大学院に進んだらどうなるのかをみてみましょう。こちらは最終合格率でランキングにしてみました。京都大の法科大学院では201人のうち177人が短答式の基準を満たし、論文試験を採点してもらえましたが、その結果、126名、71.2%が合格、というように見てください。合格率4%の予備試験に合格するのと、法科大学院に入学するのはどちらが難しいのか単純比較ができませんが、ひとまず法科大学院に入ったほうが合格率ははるかに高いようです。

但し、その人数の差は大きく、100名以上の合格者を出している大学院がある一方、受験者も一桁というところもあります。実は2004年(平成16年)に司法試験の制度改正に伴って多くの法科大学院が開設されましたが、結果的に司法試験の合格者数がほとんど出せないなどで、法科大学院への進学希望者も全体的に減少し、実績のある大学院にのみ学生が集中する状況となっています。実は、このリスト上73に加えて、リスト上にない2大学院を加えての75の大学院のうち、約半数以上の39校がすでに閉鎖、または募集停止となっています。関西でも、「関関同立」の4大学には引き続き設置されていますが、「産近甲龍」の4大学はすべて撤退です。神奈川大学法科大学院のように、短答式に合格した2人が論述試験でも合格していることからわかるように、少人数であっても法律の知識だけでなく、応用力まで養成できている大学院もあっただけに、残念でもあります。

 このように学校数は減少していますが、司法試験まで考える受験生は、法科大学院進学も一つの選択肢と考え、大学選びの材料としてみてはいかがでしょうか。

2019年度 司法試験 合格者数 その2

2020年6月4日 木曜日

というわけで、受験資格不問の(大学生でも高校生でも受験できる)予備試験の、昨年の状況を見てみましょう。

東大は強いですねぇ。合格者数、合格率ともに抜きんでています。しかも、すでに2年生が14名も合格、順調にいけば3年生のうちに合格できるというわけです。慶應義塾・早稲田・一橋・立教には1年生で合格した強者がいます。いったいいつ勉強したのだろう。

関西の私大の状況を見てみますと、関西大=0、関西学院大=1、同志社大=4、立命館大=2、と大変厳しい結果となっております。しかし、司法試験に限らず法律の知識が生かせる専門的な資格が他にもありますので、「法学部に進んで、法律家になる」といった夢を持つ高校生は、この数字を見て、その夢をあきらめることのないようにしましょう。(続く)

2019年度 司法試験 合格者数 その1

2020年6月3日 水曜日

新型コロナウイルス感染症は各方面に大きな影響を与えましたが、今年度は5月13日~17日の4日間で実施予定だった司法試験も延期となっています。薬剤師国家試験は12時間40分と書きましたが、司法試験は何と中1日はお休みの4日間で合計試験時間が19時間55分という地獄のような試験で、法科大学院出身者と予備試験合格者しか出願できませんが、それでも合格率は30%前後です。かつては最後に口述試験がありましたが、現在は無くなりました。一方、法科大学院を経ずに司法試験を受験するために合格が必要な予備試験では、短答式の4時間半の試験(こちらも5月17日から8月16日に延期)の合格者が11時間半の論文式試験に進み、その合格者が口述試験(2日間)に進む、という3段階になっており、こちらの最終合格率は4%前後となっています。つまり法科大学院に入って2~3年勉強してから受験するのか、自分で頑張って予備試験に挑戦するのか、選択できるというわけです。(続く)

【第105回】薬剤師国家試験 合格者数 その2【2020年】

2020年6月2日 火曜日

 募集人数が大きな薬学部、それに伴って国家試験合格者数も多い薬学部は存在感があるのですが、大学としては人数というより、「合格率」も重視しています。そこで、新卒の合格率で並び替えてみました。こちらが合格率90%以上の30校です。

 (その1)で話題にした東京大学。現役では9人しか出願していないけど、全員受験して、全員合格だったのね、ほお・・・。という見方もできますが、人数、割合共にすごいな、と思うのは、静岡県立大、国際医療福祉大、名城大、東京理科大、明治薬科大、近畿大あたりでしょうか。人数ランキングでは上位だった近畿圏の京都薬科、大阪薬科、神戸薬科もすべて合格率90%以上をキープ。大したものです。というわけで、次年度入試でもこのあたりの薬学部の人気が衰えることはありませんので、受験生は早めにこれらの大学の入試科目を調べて、頑張りましょう。

 因みに、入試科目が多い大学のほうが、国家試験合格率も高いという傾向もあります。したがってあまり早くから科目の絞り込みをしないように、と付け加えておきます。

【第105回】薬剤師国家試験 合格者数 その1【2020年】

2020年6月1日 月曜日

 新型コロナウイルス感染症により2月末に学校の一斉休業が要請されましたが、その1週間前の滑り込みのタイミングで、第105回薬剤師国家試験が全国9都道府県の13会場で実施されました。2日間朝から夕方まで、総試験時間12時間40分というハードな試験です。ここ近年合格者数は1万人前後で推移していますが、3月24日に発表された今年の結果では受験者の69.58%にあたる9958名が合格しました。 因みに日本では薬剤師の国家試験を受験することができる大学は73校あります。そこで学校ごとの合格者数の順番で並べてみました。

 東京薬科、京都薬科、大阪薬科とベスト3はマンモス私立薬科大学が並びます。この3校だけで約1000名。全体の1割を占めることになります。近畿圏では6位に神戸薬科、16位に神戸学院、17位に武庫川女子、20位に摂南と有名どころが並んでいます。一方、募集人数が少ない国公立はランキングでは下のほうとなり、最も受験者も合格者も少ないのは東京大学、というわけです。実は東京大学薬学部は薬剤師の養成というより、研究に比重が置かれていますので、例年受験者はこの程度となっています。(続く)

【勝手に】同志社と立命館を比べてみました【同立戦】(その2)

2020年5月29日 金曜日

新卒求人市場の活況に伴い人気の高かった商学系で比べてみました。同志社商学部と立命館経営学部の比較です。立命館には「食マネジメント」という経営学に近い学部もありますが、2018年度新設とまだ歴史も浅いので今回は除外しています。今年の募集定員は同志社419名、立命館795名です。

立命館のこの学部は2015年にびわこくさつキャンパスから大阪いばらきに移転しましたので、毎年1万人近くの志願者が集まるようになりました。しかし、2019年入試で定員を30名減らしたのに受験生が反応しすぎたのか、志願者が1割ほど減少し、今年はその反動で増えましたのでご覧のように乱高下しています。英語力(特に単語力と長文読解の力)がある受験生は実質倍率が安定している同志社のほうが安心して受験できるかもしれません。

最後に、心理学系です。立命館は2016年から文学部の心理学科を独立させる形で「総合心理学部」を大阪いばらきキャンパスに作りましたので、そこからの比較になります。募集規模は今年での比較で同志社は75名、立命館は280名と4倍近い違いがあります。

最初の2年間は安定して立命館が勝っていますが、2018年に定員を5名増やした同志社が受験生に安心感を与えたのでしょうか、志願者が251名も増えて、実質倍率で一気に立命館に追いついてきました。しかし、そこでの難化が次年度の模試判定に影響したのでしょうか、2019年度には立命館に流入、2020年度には両校とも難関の心理分野から受験生流出という状況です。というわけで、広報については大学として頑張ってね、ではなくて専門分野としての心理学の魅力発信が求められています。但し下がったといっても両校とも5倍近い実質倍率ですから、心理学を勉強したい受験生はそれなりの覚悟と努力をお願いします。

夏の甲子園も中止とのニュースが入ってきましたが、大学野球も、今年の関西学生野球の春季リーグ開幕が延期され、無観客試合もしくは中止の可能性もあります。今春入学して「同立戦」で盛り上がろうと思っていた学生の皆さん、メガホンをヘルメットに貼り付けて原付で都大路を爆走するのは今しばらくお待ちください。