センター試験 予想平均点と今後の対策②

2010年1月29日 金曜日

1月22日の記事に続いて、センター試験を受験した受験生の皆さんに向けた記事です。今回は、国公立大の系統別人気動向をお伝えします。

このブログでも何度かご紹介していますように、今年は非常に厳しい不況の中で入試が行われています。大学入試の世界にはどういう影響があるのかを考えてみましょう。

まずは「私立大よりも国公立大の人気が高くなる」。国公立大の方が学費が安い分、当然受験生はこちらに流れます。それどころか、今年は「滑り止めの私立大は受けない」という受験生も多いように思われます。この不況で私立大へは進学できないのだから、受験・合格しても何の得にもならない、と判断しているのでしょう。

次に「地方からの受験者が減る」ということがあります。大学に払う学費だけでも精一杯なのに、下宿代までは・・・。そういうご家庭が多いのでしょう。

もうひとつ、不況と合わせて連日報道されている「就職氷河期」ということも大学の志願動向に大きな影響を与えています。「どうせ進学するのなら、不況の時でも就職に強い大学・学部の方がいい」と受験生の間で考えられており、法学部や看護学部といった「就職・資格に直結した学部」の人気が高くなっている傾向です。

「国公立大人気」
「地方からの受験者が減る」
「資格志向」

この3つのキーワードを頭に入れた上で、以下のデータ・文章をご覧ください。

いろいろなところから情報が出されていますが、ここでは志望系統別の志願動向として一番詳しい駿台の資料を基にしてお話を進めようと思います。「指数」という欄にある数字ですが、昨年の人気を「100」とした時の今年の人気の度合い示すものです。100以上となっている学部・系統は「昨年よりも人気がある」事を示し、100以下となっているところは「昨年よりも人気が無い」ことを表します。また、100よりも数字が離れれば離れるほど人気・不人気の度合いが高いことも同時に示します。

※画像をクリックすると拡大画像が現れます

国公立大 志願動向①

国公立大 志願動向②

昨年よりも大きく人気を集めており、受験予定者が注意してほしい系統については赤くしています。逆に、昨年よりも大きく人気を下げており、ラッキーな入試になりそうな系統は青くしています。

ほとんどすべての学部・系統で指数が100を超えているのがわかります。つまり、今年は「国公立大へ行きたい」という受験生が昨年より多いということで、どの系統も苦しい戦いになることが予想されます。

まず文系の各学部・系統について解説します。

今年人気を集めている系統は「法学」と「教育」です。「法学」についてはやはり「不況だし、資格を持っていた方が有利だよな」と思う受験生が増え、特に経済・経営・商学の系統から志願者が増えています。同様に「教育」系統についても「教育学部=先生になれる」と、就職の事を考えた受験生が増えたことから志願者数が伸びています。特にこの「教育」系統は河合塾・駿台の両模試において昨年ずっと高人気を保っていた系統です。

理系はどうでしょうか。保健衛生学系統の看護、放射線技術、検査技術で志望者が増加しているのがわかります。こちらも「資格志向」による受験生の増加で、この系統は各予備校の模試においても昨年ずっと志願者が多かった系統です。また、農・水産学系統はほとんどすべての分野で志望者が増えています。特に今年は水産学が人気のようです。

逆に現時点で比較的人気が無いと思われる系統は、文系では人文科学、理系では工学が挙げられます。この両系統は、「卒業すると仕事や資格に直結する」ということが想像しにくい系統なので、資格や就職にすぐ結びつきやすそうな他の系統に志願者が流れてしまっている状態です。

出願・これからの2次試験対策の参考になれば、と思います。

また後日のエントリーで出願終了から2次試験までの約1カ月間どういった点に神経を使って勉強すべきなのか、毎日の生活で注意すべき点など、「2次試験対策のポイント」についてご紹介しようと思います。

社会科に対する考え方 中学入試と大学入試の違い

2010年1月28日 木曜日

1月21日の読売新聞にて、「東京都全都立高校で日本史を独自に必修科目とする方針を固めた」と報道されていました。

現在の学習指導要領では「地理歴史」のうち必修科目は世界史だけとなっており、日本史と地理は選択科目とされています。日本史は地理と比較すると必要とされる学習量が非常に多く、特に理系を志望する生徒の間では地歴3科目中地理を選択することが定番となっています。

しかし最近では、読売新聞でも報じられておりますように、「常識的な日本史の史実でも知らない生徒が多いとの指摘」が増えており、2006年には東京都と首都圏3県の教育長が文部科学省に日本史必修化を求める要望書を提出するまでに至っています。

現在では、神奈川県と横浜市がすでに日本史必修化の導入を決めています。また、東京都では日本史の必修化は検討段階ではありますが、全日制・定時制の都立高約230校のうち約半数が既に校長判断で日本史を必修としています。最終的にすべての都立高への導入を目指している、とのことです。

大学入試の世界でも、社会科を重要視する動きが出てきています。今の高1生が受験を迎える2012年度より、大学入試センター試験の社会と理科の選択制度が下の図のように変更になります。

2012年度からのセンター試験

これまでは地歴・公民それぞれから1科目を選ぶ形だったところ、2012年度からは地歴・公民の枠は関係なく最大2科目を選ぶ、という形になります。またこれまでにはなかった「倫理・政治経済」という、倫理と政治経済の両科目の内容が問われる科目も新設されます。

この制度変更により、これまでには組み合わせることができなかった、例えば「日本史Bと世界史B」というような、非常に学習内容が多い科目2つの組み合わせで受験することが可能になりますし、各国公立大もそのような形で入試科目を指定することができるようになります。

この発表を受け、昨年春には東京大が早々と2012年度入試科目(センター試験)を以下のような形に変更すると発表しています。

東大の入試科目 変更点

ご覧の通り、公民分野からは新設される「倫理・政治経済」しか選択できなくなります。また表での紹介はありませんが、理系の受験生も「世界史B」「日本史B」「地理B」「倫理・政治経済」の中からの選択となります。理系の受験生はこれまで選択可能だった「現代社会」「世界史A」「日本史A」が選択できなくなることを考えると、大変な負担増となります。理系の受験生であっても社会を重視する動きになっている、ということがわかりますが、やはり先にご紹介した「常識的な社会科の内容を知らない生徒が多い」ということを東京大の先生方も思われての措置なのでしょうか。

また、旧帝国大を含む難関国公立大でも同様に社会科の扱いをこれまで以上に重要視した形の入試科目へ変更されつつあります。

さて、これとは全く反対の動きを示しているのが、近畿地区の中学入試における社会科の扱いです。

次の表は今年2010年度入試から4教科型の入試から「3科・4科選択型入試」を導入することで場合によっては社会なしでも合格が可能となった、そんな中学の一部を表にしています。「事前出願」に丸がある学校は「出願時に選択した科目数でしか判定しない」というもので、「自動計算」に丸がついている学校は「4教科で受験した場合は4科合計と3科×○○で比較して得点の高い方で判定する」というものです。

中学入試 3科4科選択型入試導入校

大阪府男子校を代表する名門大阪星光学院中が3科・4科選択型入試導入を発表すると、それを受けて高槻・明星といった学校が後に続く形で続々と3科・4科選択型入試の導入へと踏み切りました。

この動きには、灘中を筆頭とする兵庫県男子の上位校が軒並算国理3科入試を実施しているということが大きく関係しています。

兵庫県男子の上位校を第一志望に考えていた方は、早くから算国理3科に絞った対策をとってきています。しかし、入試直前になってその志望校に成績が届かなく、受験校を変更せざるを得なくなってしまった場合、社会が必要となる4科でしか入試を行っていない学校はおのずと受験候補からは除外されてしまいます。

3科での受験校を目指して対策をしていた受験生の志望変更先として受験してもらうためには、兵庫県男子上位校と同じく「3教科型入試」を導入するのが必要となります。そういった意味で、大阪星光学院中をはじめとして洛星・高槻といった上位の男子校を中心に多くの学校で、従来の4科と合わせて3科でも判定出来る入試形態とした、というのが近畿地区の社会科にまつわる大きな動きです。

高校教育の現場と大学入試においては社会科の重要性を再認識し、それを念頭に置いた制度変更が行われつつある一方で、中学入試の世界では入試で社会が無くてもどうにかなってしまう学校が増えている、という全く正反対の動き。

皆さんはどう思われますでしょうか?

Memories of 中学入試2010 ~合格発表編~

2010年1月27日 水曜日

16日(土)からスタートした中学入試、前回の「入試当日編」に引き続き今回は「合格発表編」として、各校の合格発表時の様子をご紹介しようと思います。

洛星 発表1洛星中の様子、皆さん記念撮影をしています

東大寺学園 発表1東大寺学園中、入試当日の案内板に続いて力強い文字がお出迎え

清風中 発表1清風中理Ⅲプレミアム日程の発表、夜19時とあって回りは真っ暗

中学受験を終えた皆さん、本当にご苦労様でした。これまでの道のりを振り返って、どんな感想を持つでしょうか?結果はもちろん大事です。しかし、それよりももっと大事なものを皆さんは手に入れているはずです。それは、「今までの人生で一番頑張って勉強した」ということ。

「遊びもガマンして、寝る時間も削って勉強した。あんなにしんどかったことは今までにない。」と思えるぐらい頑張った人ならば、これから先の人生で少々つらい・しんどいことがあっても「中学受験の勉強のときの方がしんどかったから、これぐらいなんてことはない」と、前向きになれることがきっと多くなると思います。

そして、「頑張った」という事実は10年後・20年後、きっとおじいさん・おばあさんになっても素晴らしい思い出としていつまでも色あせずあなた方の心の中に残り続けることでしょう。それは何ものにも代えることが出来ない「宝物」なのです。

最後に一つ。ここまで来れたのは家族の皆さんの温かい協力があったから、ということを忘れないで欲しいと思います。お弁当を作ったり、送り迎えをしてくれたり、受験校のことで塾や中学に行って先生と話をしたり・・・。挙げだすとキリがないくらいのことをしてくれたはずです。感謝の気持ちを直接口に出すことはきっと恥ずかしいと思いますから、心の中で「ありがとう」と言うだけでもいいと思います。どうか感謝の気持ちを忘れないで。

合格おめでとう!

中学受験を終えた皆さん、進学先での生活が充実したものになるといいですね!

Memories of 中学入試2010 ~入試当日編~

2010年1月26日 火曜日

16日(土)に統一・解禁日を迎えた中学入試。あれから1週間以上が経ち、今年も開成グループの受験生たちに多くの吉報が届いています。詳しい合格実績については、以下のリンク「中学受験 合格実績」でご確認ください。

http://www.kaisei-group.co.jp/2010result_cyugaku

さて、今年の中学入試の様子をたくさんの写真と共にご紹介したいと思います。今回は「入試当日」の様子を、次回のエントリーでは「合格発表」の様子を取り上げます。

開成グループ 応援旗

開成グループの応援旗、大きいので遠くからでも目立ちます

星光1

大阪星光学院中、校門前の様子

星光2

開成の教員が受験生に熱いエールを送ります

西大和学園1

西大和学園中 門前の案内板です

東大寺学園1

東大寺学園中の門前の案内板、味わい深い文字が印象的です

東大寺学園2

ここでも開成の教員が受験生を激励します

同志社1

同志社中、左隣に見えるのが同日実施のセンター試験の案内板

プール学院1

プール学院中にもお邪魔しました

プール学院2

ここでも開成グループの大きな応援旗が大活躍です

入試当日、開成グループの教員が様々な中学前で入試に向かう受験生を激励してまいりました。いつも通りふるまっているつもりでも時折見せる表情に緊張の色がうかがえる子もいれば、誰がどう見ても緊張していることがありありとわかる子、逆に見ているこちらが心配してしまうぐらいいつも通りのリラックスした言動の子・・・。いろいろな受験生がいました。

次回のエントリーでは各校の合格発表の様子をご紹介する予定です。

センター試験 予想平均点と今後の対策①

2010年1月22日 金曜日

久々の記事になってしまいました。

1月16・17日の両日、大学入試センター試験が全国各地725会場で行われました。

センター試験会場 案内板

当日の近畿地方は天気も良く、特に大きな交通の乱れはありませんでした。しかし、17日には札幌市周辺で大雪による交通機関の乱れがあり、試験開始時間を最大で1時間繰り下げる措置がとられ、約1万人の志願者に影響が出たようです。中には、4時間も電車の中で足止めされてしまった女子生徒もいたそうです・・・。

一時は「5万人に追試をしないといけないのでは?」とまで心配されていた新型インフルエンザの流行による混乱もありませんでした。これには本当に安心しました。

30・31日に実施される追試についてですが、インフルエンザと類似症状による509人を含む追試受験予定者は972人になりました。これは、1995年の934人を上回り過去最多ですが、新型インフルエンザの流行がピークを過ぎたこともあるのかもしれませんが、何よりも受験生のマスク着用などの感染対策が効果を表したものと思います。

さて、翌日には新聞などで問題が公開されています。各予備校もHP上で予想平均点を公開していますので、昨年の平均点と合わせて科目別のデータをご紹介します。

センター試験 予想平均点と難易度変動予想

英語の「122・30」という表記は、「筆記の点・リスニングの点」を示します。

今回、驚かされたのが数ⅠAと国語の古文・漢文の難易度が上がったことです。特に数ⅠAについては問題の分量こそ例年並みではあるものの、第3問の問題設定が例年と異なるなどかなり難しい問題だったようです。国語についても、漢文の出題形式がこれまでになかったものとなっています。戸惑った受験生が多かったのではないでしょうか。

さて、センター試験が終わった今、これから国公立大2次試験に向けてやるべきことは何なのでしょうか?各大学・学部の人気動向も気になります。今後、このブログでそれぞれについて詳しい情報や分析を、不定期ではありますが、ご紹介していこうと思います。

開成グループ入試対策課ブログで、国公立大2次出願に役立つ情報を見逃さないようにしましょう!

大学入試 出題ミスが増加

2010年1月18日 月曜日

2009年度の国公私立大入試において、大学側の「ミス」が156校・283件に上ったことが1月13日の読売新聞で報じられました。

山形大で過去5年間で合格者400人以上を不合格にしていたミスが2001年に判明したことを受け、文部科学省が2003年入試から本格的な調査を開始しています。その2003年度と2009年度を比較すると、私立大のミスは何と2.6倍にまで増えているとのことです。

読売新聞は「学生獲得のために受験機会を増やした結果、問題作成が多くなってチェックがおろそかになった面も指摘されている」と報じています。

関関同立大を例にとって入試回数(センター試験のみの方式は除く)の多さを検証してみましょう。

かつてはどの学部も1回しか入試機会が無かった同志社大が2010年度入試では少ない学部で2回、多いところでは文化情報学部で4回の入試機会があります。また、立命館大は文系学部では最大8回の入試機会があります。このように、特に私立大では最近、数多くの受験生に受験してもらおう、ということでどの大学も入試回数を増やす傾向にあります。

2009年度に判明したミス283件中223件、率にして約8割を占めるのが私立大です。また、全283件のミスのうち合否に影響したものは国公私立大で計23件もある、ということです。

実際に筆者がかつて開成グループ内で担当していた教室で起こった話です。ある生徒が第一志望のA大学は何度受けても不合格だったので仕方なく第二志望のB大学へ進学しました。やっと「B大学も悪くないな」と思い始めた5月に、第一志望だったA大学から「採点ミスがあり、あなたは合格となりました」という連絡が入りました。

その生徒は大いに悩みました。「B大学ではサークルにも入ったし、友達もたくさんできた。それに、授業ももうB大学で何十回と受けている。」「第一志望のA大学に行けるのはうれしいけど、また一から出直し。それに1ヶ月以上も遅れて入学しても皆に受け入れてもらえるのだろうか?」

その生徒は結局、B大学で積み上げたものすべてを捨て、A大学へ入学しました。

受験生にとって、受験機会が増えるのはありがたいことこの上ないのですが、これによって問題作成や採点がいい加減になってしまい、受験生の進学先、つまりは受験生の「将来」に大きな影響を与えてしまうような事例が増えるのは歓迎できません。

今年は新型インフルエンザ対応ということで、国公立大の66%(116校)、私立大も45%(418校)が追試を実施する予定にしています。「追試をする」ということは「新しい入試問題を作る」「採点する回数が増える」ということになります。先の生徒のような不幸な例が出ないこと、これ以上ミスが増えないこと、ただ祈るばかりです。

祈 全員合格!

2010年1月15日 金曜日

16日(土)は中学入試統一・解禁日、大学入試センター試験の1日目。

とうとう迎えた入試本番。受験生全員が持てる力のすべてを出し切り、合格を勝ち取るように、心より祈っています。

祈 全員合格

2010年1月吉日 北野天満宮にて

大阪府私立高 専願率が過去最低に

2010年1月14日 木曜日

大阪府内の公立中学校卒業見込み生徒のうち、府内の私立高を専願で希望している者の割合が過去最低の13.34%になった、ということが1月6日に新聞各紙で報じられました。昨年の同じ時期に調査した時には13.94%でしたから、0.6%のダウン、ということになります。昨年11月には、世帯年収350万円以下の家庭は授業料を実質無償化する、などの「私立無償化」についても打ち出されていますが、まだ十分に浸透していないことがこの調査でも浮き彫りになっています。

他府県の私立専願率も軒並みダウンしているようです。朝日新聞に掲載されていた、他地域のデータをご紹介します。

愛知県 18.4%(-0.7ポイント) 12月5日時点
京都府 20.2%(-0.2ポイント) 9月15日時点
兵庫県 4.11%(-0.29ポイント) 9月1日時点

2008年、深刻な不況へと突入した時期と同じころに、大阪府では「私学助成金削減」を受けて多くの私立高で授業料が値上げされました。その結果、昨年の調査では一昨年よりもなんと1.57ポイントも専願率が減る、という事態になりました。それに続いて今年も専願率ダウンということになりますから、「私立離れ」が一向に止まらない状況である、ということになります。

その一方で、公立高を志望する生徒の割合は83.67%で、昨年同時期の調査から0.28%増加しています。全日制公立高の競争倍率としては1.22倍になる計算ですが、これは昨年同時期の1.25倍よりも下がっています。公立高の入学定員が3440人増えているから、というのが理由です。

この「圧倒的な公立高人気」は、やはり長引く不況に加え、国が来年度から公立高の授業料を無償化するということが大きく報道されている、ということが影響しているようです。

私立各校は入試成績の上位者に対して授業料を「全額免除」「公立高校並み」にしたり、「入学金免除」としたりするといういわゆる「特待生制度」を拡充しています。「特待生であれば私立に行ってもいい」というご家庭が昨年・今年で増えているのも現実ではあるものの、対象となる数自体は少なくなってしまいますので、私立高人気の復活に直接結びつくことは考えにくいところです。人気復活はやはり「私立も無償化」ということが浸透するかどうか、にかかっているのではないでしょうか。

しかし、「世帯収入によっては無償化になる私立高」というわかりにくいものより「所得制限なしで全員が無料になる」という、制度的にわかりやすい公立高に希望者が集まるのは自然な動きなのではないでしょうか。

先にご紹介した「私立無償化」が今後どれほど浸透するかによっては私立専願率がもう少し回復することも考えられます。1月下旬には第二回の調査結果が明らかになります。調査結果を心して待ちたいと思います。

近畿大 一般入試に向けて②

2010年1月13日 水曜日

前回の数学についての情報に続き、今回は公募推薦終了時点の各学部・学科の人気動向や昨年との倍率・合格最低点の違いなどをご紹介します。自分が受験予定の学部・学科の動向をつかみ、ここから約1カ月の対策に役立ててください。

まずは、学部別の志願動向です。

近畿大 学部別志願者数・対前年比

文系学部は、法・経済・経営・文芸の新設学部を除く4学部すべてで昨年の推薦入試よりも志願者数がダウンしています。特に、経済と文芸は昨年の4分の3程度にまで減ってしまっています。しかし新設の総合社会学部が4000名以上の志願者を集めており、文系全体では昨年よりも約10%増えています。これまでの文系4学部よりも総合社会学部に魅力を感じて志願者が多く集まっている、という状況です。

理系学部は総じて志願者数が増えています。ただし、一部の学部については昨年よりも募集定員を減らしているところもあり、その影響で志願者数が「増えたように見える」といったことも起こっています。

さて、2009年度と2010年度の公募推薦入試合格最低点(文系学部)を比較して、各学部のレベルのアップ・ダウン、新設の総合社会学部の難易度を確認しましょう。

近畿大 文系学部合格最低点 比較

左は2009年度の、右は2010年度(今年度)の合格最低点についてのデータです。中央にある矢印は、2009年度から合格最低点が上がったのか・下がったのか・それほど変わらなかったのかを示しています。

ご覧のとおり、ほとんどすべての学部・学科で合格最低点がダウンしています。特にダウンが激しいのが、経営学部キャリアマネジメント学科(-15点)・経済学部国際経済学科(-10点)・法学部政策法学科(-7点)の3つです。この3つの学科には「2009年度は高倍率だった」という共通点があります。公募推薦の倍率の推移(09年度→10年度)を見てみますと…

経営学部キャリアマネジメント学科 9.0倍→3.9倍
経済学部国際経済学科 8.7倍→4.7倍
法学部政策法学科 7.1倍→4.0倍

となっています。一般的に、受験生は前の年に倍率が高かった学部・学科を避けて出願する傾向にあります。今年も、去年の倍率の高さを見てびっくりした多くの受験生が他の学部・学科の受験に切り替えたのでしょう。しかし、結果としてこれら3つの学科は昨年の公募推薦より倍率も合格最低点も大きく下がって入りやすくなりました。今年受験した人は「ラッキー」だったのではないでしょうか。

新設の総合社会学部の難易度です。心理系の合格最低点が文系学部・学科内で最も(しかもダントツで)高い140点(200点満点中)となっています。社会・マスメディア系の135点というのも文系学部・学科の中で2番目に高い点数で、総合社会学部にはレベルの高い受験生が集まったようです。ただ、環境系の合格最低点が非常に低く(125点)なっており、「環境って理系の分野でしょ?」「文系学部で環境の勉強って出来るの?」と受験生に考えられ、積極的に受験をされなかったことが予想されます。

最後に、昨年は一般入試各日程でどれくらい合格者数が出たのかをご紹介します。近畿大の一般入試の中では「一般入試前期A日程」での合格者数が圧倒的に多く、昨年は約6000名に合格通知を送っています。その後の日程となる「一般入試前期B日程」では前期Aの半分の約3000名、「一般後期」になると前期Aの4分の1以下の約1300名にしか合格を出していません。近畿大を第一志望に考えている受験生は、1/30・31実施の一般前期Aで合格を勝ち取れるようにしたいところです。

近畿大 一般入試に向けて①

2010年1月12日 火曜日

近畿大の一般入試直前対策講座に参加してきました。たくさんの情報を得てきましたので、エントリーを2つに分けてご紹介いたします。

当日は一般入試活用法、保護者向けの説明の他に英数国3教科に関する対策講座が開かれていました。その中で、今回は数学対策講座で聞いてきたことをご紹介しようと思います。

近畿大 総合社会学部 案内

近畿大の数学の問題は60分となっていますが、全体の問題量や難易度を考えると「60分じゃとても足りない」中身となっています。ただ、基本的な問題が一部で出題されているので、それをまずは見分けて短時間で処理→難しい問題に時間を割く、というテクニックが必要になります。過去問で問題をチェックし、やさしい問題・難しい問題を瞬時に見分ける訓練をしておきましょう。合わせて、すぐに解ける問題からどんどん・正確に解いていくためには、速く・確実な計算力が要求されます。こちらも忘れないで!

また、例えば農学部や薬学部などではいわゆる「小問集」が出題されることがたまにあるなど、日程によって問題の難易度や中身に若干の差が見られるのも特徴です。

もう一つの特徴としては、問題には図が載っていないので問題文から自分で図を書き起こす必要がある、という点です。図を書く際に間違えてしまうと、どんなに正確で速い計算力や正しい知識があったとしても正しい答えを導くことはできません。ここは細心の注意を払って作図しましょう。

次回のエントリーでは、一般公募推薦終了時点での各学部・学科の人気動向や昨年との倍率・合格最低点の違いなどをご紹介します。