2011年度京阪神私立高 出願状況

2011年2月9日

いよいよ明日2月10日(木)は大阪府・兵庫県・京都府で私立高校入試が行われます。受験生の皆さん、準備はいかがでしょうか?

3府県の出願状況(中間報告)が2月頭時点で新聞各紙で報道されています。今回のエントリーは、各府県の全体的な状況をまとめてみたいと思います。

まずは、下の表で今年を含む3年分の私立高の倍率をご紹介します。なお、昨年同時期の状況についてはこちらのエントリー「京阪神地区私立高 直前の倍率」からご確認いただけます。合わせてお読みください。

2011年度京阪神地区私立高 出願状況

大阪府は、倍率が+0.01ということで昨年から微増です。「不況」と「公立高無償化」の影響などで志願者が減少の一途をたどっていた大阪府私立高ですが、府の授業料無償化対象世帯の拡大で専願者が増えた形で、2年連続過去最高を更新しています。

専願率は27.02%(昨年から5.56% 増)と大きく伸びて2年連続の上昇を記録しただけでなく、記録の残る1991年の37.70%をピークに減少傾向だった専願率が12年前の水準に戻っています。男子校・女子校・共学校の内訳を見てみますと・・・

男子校:31.12%(昨年5.94%増)
女子校:34.72%(昨年7.96%増)
共学校:25.55%(昨年5.29%増)

となっています。

また、専願者だけで外部募集人数を超えている学校が33校もあり、前年度の11校を大きく上回っています。

ここまで私立高人気が回復した要因としては、何と言っても大阪府の「私立高授業料無償化対象世帯の拡大」以外に考えられません。

大阪府は2011年度入学生から私立高校授業料について年収610万円までの世帯は無償とし、年収800万円までの世帯は授業料の年間自己負担額を10万円とする補助策を導入する方針としています。この政策が専願率の上昇や私立高志願者の増加に確実に結びついているようです。

さて、この私立高校授業料の補助策を積極的に進めているのは大阪府だけではありません。お隣の京都府でも、大阪府同様に私立高無償化の対象を拡大する方針を挙げています。具体的には、現在の無償化の対象は350万円未満ですが、これを500万円未満世帯にまで広げる、というものです。これによって私立高も積極的に選択してもらおう、ということです。

しかし、この政策の公表が1月26日ということで、ほとんどの受験生が専願・併願も含めて私立受験校を決めてしまった後でした。ですから、この政策が私立高の倍率を押し上げるには至らず、昨年と全く同じ倍率なっていることが表でも表されています。

さて、大阪府と京都府では大々的な私立高授業料補助が進められていますが、大阪に住んでいる受験生なら大阪にある私学に通う事、京都に住んでいる受験生なら京都の私学に通う事、が授業料補助の条件となっています。大阪に住んでいる受験生が京都の私学に入学した場合は、どちらの府からも補助金は出ないことになります。

このことが「府県を超えて通える」という私学の良い点を消しているようにも思われます。事実、JRや阪急の駅に近い京都のとある私立高では、大阪からの志願者が例年の1/3にまで減り、全体の志願者が減ってしまっているようです。

京都府では、2012年度以降の制度の相互適用に向けて大阪府や兵庫県と協議を始める予定にしているようではありますが、今年の受験生はひとまず「自分が住んでいる府内の私立高のみ支給対象」ということになります。

大阪府・京都府での私立高授業料補助策に悲鳴を上げているのが、兵庫県の私立各校です。表をご覧いただいてもお分かりのとおり、兵庫県私立高の平均倍率が微減しています。特に、大阪に近い所に位置している私立高では、大阪からの受験者が減っているようです。

このような中間結果となっています。今回のデータが発表された段階では各府県とも出願を締め切っていない高校が多々ありますので、倍率は変動している可能性があります点、お知りおき下さい。