【日本最大の】大阪公立大学 大研究【公立大学】

2022年11月11日 金曜日

現在わが国には私立大学592校、国立大学82校、公立大学94校(文部省管轄外の省庁大学校、専門職大学、大学院大学を除く)があります。その中の公立大学の学生数ランキング2021年では、1位は東京都立大(9,049名)、2位大阪市立大(8,291名)、4位が大阪府大(7,755名)(一般社団法人公立大学協会「令和3年度公立大学便覧」令和4年3月参照)だったのですが、この2位と4位が一緒になった今、公立大学で最大となるのは当然として、大学院生の多い国立大学最大の大阪大学、2位の東京大学にはかないませんが、3位だった京都大学は抜いて、国公立でも3位となりました。

因みに統合前の大阪市立大、大阪府立大での入学者(つまり今の2回生以上)はそれぞれの大学の卒業証書、学士号となります。大阪外国語大学が大阪大学に統合されたときと同じですね。

大阪市立大学は五代友厚らによって明治13年(1880年)に創設された「大阪商業講習所」がルーツです。大阪市は東京高等商業学校(現 一橋大)に次ぐ2番目の官立高等商業学校の誘致を目指していましたが、神戸に先を越された(そこでできたのが神戸高等商業学校。現 神戸大)ため、1901年に大阪市が自前で大阪商業学校を作ります。その後それを改組し、日本初の「市立大学」として旧制大阪商業大学が誕生。というわけで、一橋大、神戸大、大阪市大の3大学は「旧三商大」(三高商)と呼ばれ、今でもスポーツの交流戦やゼミの討論会などが行われているそうです。これとは別に大阪市立の医科大学を1955年に編入して医学部となりました。

一方の大阪府立大学は当時北浜にあった大阪府立医学校(現 大阪大学)の中に1883年に設置された獣医学講習所がルーツですが、堺市に開校した大阪府立農学校に移転し、理系イメージの強い大学になりましたが、2005年には府立大阪女子大、府立看護大を統合したため、教育・福祉・心理・看護などの分野をもつ総合大学に発展していきました。

このように全く異なるルーツと沿革を持つ2大学は、大和川を挟んで近い場所にありつつ、あまり交流が無かったイメージなのですが、大阪都構想の流れの中で合併が検討され、ついにこの春「大阪公立大学」が誕生しました。

多彩な入試日程や方式を取り入れるなど、入試に関しても改革されましたが、その結果、受験者や競争率はどうなったのでしょうか、法人統合前の2018年度入試と2022年度入試で比較してみましょう。(基礎資料は蛍雪時代「大学の真の実力」旺文社の数値を参照)まずは2018年度入試・・・

次に2022年度入試・・・

比較すると・・・

なるほど、多様な入試を行ったために一般選抜を経て入学する受験生が164名(割合も3.3%)減少し、実質倍率は上がっている、というわけです。しかし、予想していたよりは小幅な変動だったと思います。倍率が上がる予想が多かったので様子見になったのかもしれません。そこで要注意なのは2年目の今年の入試。枠が広がった多様な入試も含めて受験生が集まるのではないでしょうか。

城東練兵場跡の不発弾処理も終わり、新キャンパスの建築が始まります。今後の発展にも注目ですね。

ところで、現在NHKで放送中の朝ドラ「舞いあがれ!」で大学の人力飛行機サークルのシーンがありますが、実在する大阪公立大(大阪府立大)の人力飛行機サークルをモデルにしたそうです。ドラマの中の大学名は「浪速大学」なのですが、実はこの校名、大阪府立大学となる前の1949年から1955年の6年間だけ使われていたもので、今回の統合に関する議論の中でも検討されていた名称でもあります。ドラマの制作者は大阪公立大学に対するオマージュとして使ったのでしょう。よく御存知で・・・。