このほど、文部科学省及び厚生労働省の共同調査による2011年3月大学等卒業者の就職状況が発表されました。
今回公表されたのは4月1日時点のデータ、ということですから、この春大学を卒業した学生たちの最終的な就職率として把握出来るデータとなります。
当ブログでは大学選びの一助としてもらうために、就職率については常に注視してきました。過去に就職率についてご紹介した記事は以下のようなものがあります。
「厳しい雇用・就職状況の中を生きる」(2010年8月25日アップ)
「国公立大と私立大 就職率ってどれぐらい違うの?」(2010年11月9日アップ)
「かつてない落ち込み! 大卒就職内定率」(2011年4月11日アップ)
今春の就職率について、過去15年分の就職率推移と合わせて以下にご紹介いたします(画像をクリックすると拡大します)。
青い折れ線グラフが大卒全体の就職率を示しています。
今春の就職率は91.1%ということで、何とか過去最低記録を更新するという最悪の事態は避けられたものの、ワースト記録である2000年の91.1%と全く同じ値となりました。
この4月にご紹介したこちらのエントリー「かつてない落ち込み! 大卒就職内定率」で触れましたが、3月時点では2000年のデータを大きく下回る就職率であったのに対して、今回の最終的な率はかなり盛り返した形です。
2007年度以降にあるオレンジと緑の棒グラフですが、こちらは当該年度における国公立大と私立大それぞれの就職率を示しています。こちらをよく見てみますと、やはり国公立大の就職率は私立大のそれよりも高い値になっていることが容易に分かります。
それだけではなく、2009⇒2010で全体の就職率が約4%もの大きなダウンとなったにもかかわらず、国公立大は約2%のダウンで止まっていることも分かります。同じ時期に私立大では約5%下げたことと比べると、やはり国公立大は圧倒的な強さを持っています。
では、続いて文系・理系の就職率の違いを検証してみたいと思います(画像をクリックすると拡大します)。
昨年2010年と今年2011年のデータを並べており、文系全体・理系全体の就職率だけでなく、国公立大・私立大それぞれの文系・理系の就職率も分かるようにしています。
文系全体の就職率は90%程度、私立大もそれと同程度の就職率ですが、国公立大文系は92%ということで若干ではありますが全体及び私立大平均を上回っています。ここでも国公立大の強さが現れています。
理系を見てみますと、全体は93%。文系よりも就職率が高いことがわかります。
しかし、今年の私立大理系就職率は私立大文系とほぼ同程度にまで落ち込んでいます。その一方で、国公立大理系は1%ちょっとのダウンにはなっているものの、私立大理系とくらべてはるかに高い就職率を維持しています。
これらのデータから「国公立大理系が一番就職率が高い」ということになります。
これから大学や学部を選ぶ方はもちろん、中学入試や高校入試を控えている受験生・その保護者の方々におかれましても、例えば「国公立大理系に行きたかったのにウチの高校からはほとんど進学していない」「理系進学者向けのサポートが乏しい」といったことを入学後に知るなど、将来の進路選択の際に不利なことが起こらないよう、このデータを活かしていただければ幸いです。