甲南大 教育・入試で大きな改革を

2013年7月3日 水曜日

甲南大の高校・予備校対象説明会に行ってまいりました。

甲南大では、現在大規模な「教育改革」、それと連動する形での「入試改革」が進められています。

何でも、北海道大・大阪府立大・甲南大などの5大学共同で調査した結果、「授業時間以外に勉強や宿題をする」という調査項目において甲南大の学生は「全然ない」「1時間未満」の合計が30%を超え、5大学の平均である20%弱と比べて遥かに高い率を占め、「不十分な学習時間」「受け身の学び」が明らかになったそうです。

このことは、ひいては「社会人として必要な基礎学力が不足する」という事態を引き起こすことになるので、そうならないよう、甲南らしい「人物教育」を軸として自ら学ぶ人物を育てる教育体制を構築し、「引き出して伸ばす」教育を行う形にするため、この度教育改革に着手されています。

具体的な展望は以下の通りです。

「主体的に学ぶ」甲南生を育てる
①ラーニングコモンズ等を利用した新教育プログラム
②学士課程教育の質保障「甲南スタンダード」
③インターン・ボランティアなどを活用したキャリア教育
④シラバス・授業資料の改善や履修要項の改定
⑤入学前~初年次教育による円滑な高大接続

教育の体系化・組織化・可視化
①学生が自ら学修計画をたてるためのカリキュラムマップとカリキュラムツリーの整備
②授業科目種別の明確化とその編成の最適化
③成績評価基準の明確化と成績評価ポリシーの策定
④教育情報公開の促進

組織の再編と施設設備の充実
①教員組織の編成方針に関する全学的な再検討
②教育改善活動を支援する組織の設置
③地域・社会との連携
④教育改革を推進するための基盤となる「平生記念高等教育研究開発センター(仮称)」の設置

また、甲南らしい人物を社会に多く輩出するため、「甲南大学で学びたい」という強い意欲をもつ人に入学してほしいという思いから、確かな学力と強い志望度を有する以下のような志願者を集めるため、入試制度も変更されます。

①3教科をしっかりと学び、確かな基礎学力を備えた人
②「甲南の○○学部で△△学を学びたい」という意志をもつ人
③甲南大学で「人格の修養」と「個性の伸長」を望む人

さて、その気になる新しい入試制度の前に、簡単に2013年度入試結果についてご紹介致します。

今春入試の志願者数は20,501名で、昨年から+156名、前年比100.8%となりました。昨年まで4年連続減少となっていましたが、ようやく歯止めがかかりました。

しかしながら、全国の私立大全体の志願者数の伸び(約5%増)と比較すると「実質的にはダウン」と言わざるを得ない、というのが正直な感想です。特にセンター利用型(C日程)で約15%もの志願者減となっており、やはり手放しでは喜べない状況となっています。

学部別の動向を見ますと、志願者を増やしたのがマネジメント創造学部(117.2%)、反対に大きく減らしたのは知能情報学部(74.6%)となっています。

合格者数は昨年から6%減と、先にご紹介をした志願者数と反対の動きをしています。結果、倍率は3.8倍となり、昨年3.6倍から上昇、一昨年の3.8倍にまで持ち直しています。

では、2014年度入試についてです。

ざっくりとですが、主な変更点は以下の通りとなっています。詳しい変更点については大学発行の入試ガイド等でご確認下さい。ただし、年内実施の入試については変更点はないようです。

①入試日程名を変更する
②一般入試前期(これまでのE・A)の試験日が1日減少し、4日間に
③センター併用型であるS日程を廃止
④センター利用型(中期)を廃止
⑤最大3学部までの併願が可能だったセンター併用型(前期)が、同一学科の併願のみに
⑥入試科目は、一般前期では一部理系学部を除き3科目型入試をメインに

上記に加え元々入試問題では記述の割合も高いことから、より一層「敷居の高い入試」となるのは間違いないでしょう。その分志願者が減ることは確実でしょうけども、それでも「ぜひ甲南で学びたい」という意欲を持つ生徒に集まってもらいたい、という思いの方が強い、ということなのでしょう。

次年度入試における甲南大の動向が大変気になります。

四天王寺学園中 想定レベルは「四天王寺中 英数Ⅰと同等」

2013年7月2日 火曜日

学校法人 四天王寺学園が、現在同学園の小学校がある藤井寺の敷地に男女共学・少人数の「進学校を目指す」中高として開校の準備をされておられる、四天王寺学園中の塾対象説明会に行って参りました。

6ヶ年一貫教育で、将来希望する世界で活躍できる深い人間性や学力を養成すべく、以下3つの教育方針を柱として運営されるとのことです。

①日本のリーダーとして活躍できる強い精神力
②規律正しく、厳しさを備えた人格の形成
③将来希望する世界に力強く雄飛し得る学力の養成

1クラス35名、週37時間授業(週3日は7限授業)、月~金は放課後学習・自習のため19時まで学習室・自習室を開放、放課後は教員と四天王寺高卒業生を中心とするチューターによる個別指導で英数を中心にサポートなど、学力伸長に重きを置いた教育内容とされる方針のようです。

実際に指導をされる先生方に関してもお話頂いています。現在、校長(予定)・理科・英語・数学の計4名の先生方が四天王寺中高から籍を移して開設準備にあたっておられ、今後も受験教科に関しては四天王寺中高からの異動及び外部からの教員募集で採用した先生方が担当される予定であるとのことです。

四天王寺中と同じカリキュラムと教材でもって授業を展開するとの話もありましたが、それだけでなく、四天王寺中と同じ質の教育を受けることが出来るよう、長年に渡る教育の研究成果がすでにある四天王寺中と連携を深めていくことも強調されておられました。

今現在近隣に四天王寺羽曳丘中高が存在しますが、それの「移転」という形ではなく、「新しい学校を立ち上げる」ことをかなり強調されておられるのは、ここまでお読み頂ければ充分お分かりいただけると思います。

来る2014年度入試はどのように実施されるのでしょうか。

入試日は以下の3回。すべて試験会場は四天王寺学園小にて実施されます。

1/18(土)AM 3科4科
(4科受験者は算国理3科×1.25倍と4科の高い方で判定、3科受験者も1.25倍)
1/18(土)PM 2科(17時20分集合)
1/20(月)AM 2科
※どの日程も翌日にHPで合否発表

入試問題の傾向は四天王寺中と同傾向・同レベルとされるようですが、少しだけ標準問題を多くする予定だそうです。当日は得点率60%を合格のラインとするつもりであるとのお話もありました。

とても気になる入試レベルですが、「四天王寺中 英数Ⅰと同等」をお考えのようです。

そうお考えになられる理由として、このゾーンの生徒は6年間で学力が2極化する傾向が強く、新校の少人数学級+放課後の個別指導という「手厚いサポート」ならば全員に最難関大を目指してもらえるから、とおっしゃられていました。

プレテストは実施されません。また、体験学習などの体験型イベントも校舎が無い関係で実施出来ず、オーソドックスな説明会を数回実施する形となります点もご承知おき下さい。

まさに「四天王寺中の共学版」として開校を予定されているこの四天王寺学園中。受験生あるいはその保護者からの評価はどのようになりますか、今後大変注目が集まることと思います。

関西大 今年の入試は難しかったが、実は・・・

2013年7月1日 月曜日

関西大の高校・予備校対象説明会に行って参りました。

関西大と言いますと、今春入試ではかなりの難易度上昇となり、多くの受験生が涙を流したことと思います。そんな入試結果についても詳しくご報告頂いていますので、後程ご紹介します。

まずは就職状況・サポート面についてです。

就職「決定」率は95.8% で、昨年95.3%・一昨年から94.3%から徐々にポイントアップしています。ここ数年95%程度で推移していたのが、95%後半に乗ってきています。

また、在学生から進学希望者だけを引いた数を母数として算出する本当の意味での就職率は81.8%となっています。

巨大・大企業への就職割合は60.5%、昨年59.8%・一昨年60.4%と例年60%程度で推移しています。

総合大学としては恐らく全国でも最も早くから、となる平成9年より開始しているインターンシップですが、近年では1学年で700名ほどが参加しているそうです。ただし、これでも1学年のうちほんの数%程度なので、もっと多くの学生に参加してもらえるようにしたい、とのことも言われていました。

インターンシップでも特に面白いのが国際インターンシップにも着手されている点で、今夏は30名程度が参加予定とのことでした。こちらももっと参加者が出るようになるといいですね。

2013年度の入試結果についてです。

志願者数は昨年から約7,000名の増加となり、約6,000名減少した昨春から大きく揺れ戻っています。倍率は・・・

08年度5.5倍 ⇒ 09年度5.6倍 ⇒ 10年度5.1倍
⇒ 11年度5.0倍 ⇒ 12年度4.3倍 ⇒ 13年度4.8倍

と推移しており、09~12年度まで続いた下降傾向から脱しています。「急に難しくなった」と言われる受験生が多かったのですが、倍率上では11年度水準にも届いておらず、過去の倍率の方が明らかに高いものになっていることがわかります。反対に、昨年(2012)年度の倍率が例年とは比較にならないぐらい低くなっています。

よって、今年の入試が急に難しくなった、のではなくて「昨年度の入試が極端に易しすぎた」というのが正確な姿だと思われます。

学部別の志願動向指数は以下の通りです。

法117% 文98% 経済108% 商112% 社会98% 政策創造148%
外国語98% 人間健康112% 総合情報106% 社会安全95%
システム理工113% 環境都市工116% 化学生命工112%

「国際アジア法政策学科」が今春より新設された政策創造学部で大きく伸びているのがわかりますが、同学科を第一志望として挙げてきた受験生は少ないようです。よって、この学科の新設が政策創造学部の志願者増に寄与したとは分析出来ず、代わりに考えられるのは・・・

①前年30%の志願者減で「穴場」と思われたこと
②先述の新学科設置により、文系学部は「1学部1学科」のスタンスとなっている関西大の中にあってこの学部のみ複数の学科が設置されることになり、入試段階で第一・第二志望学科を指定し、回し合格判定を受けることが可能となったから

ではないだろうか、と開成教育グループ 入試対策課では分析しています(社会学部は第4志望専攻まで指定が可能な点、次年度に向けてお忘れなく)。

さて、先ほどご紹介したとおり倍率はアップしていますが、今回の説明会では合格最低得点率は下がっているとアピールされていました。以下、大まかな合格最低点(率)に関するデータです。

文系 2013年度 約71%(2012年度 約73%)
理系 2013年度 約59%(2012年度 約57%)

こちらはデータのご紹介は割愛しますが、センター利用型のラインも低下しています。

次年度である2014年度入試に関する情報です。

大きな変更点があります。2/2実施の学部個別日程の理工系学部で「理科設問選択方式(2科目型)」が新設されます。詳細は次の通りです。

①従来から同日程で実施されている「理科1科目選択方式」に加えて新設するが、併願は不可
②学科が指定した2科目がそれぞれ大問が3問ずつ用意されており、その中から大問を4問選択
③もし5問以上解答した場合は、高得点の4問を自動的に合否判定利用してくれる
④配点は「英150・数200・理200」となり、同日程で実施している理科1科目選択方式に比べて
「英語-50点・理科+50点」となっており、より理系に有利

似たような方式として、2/5実施の学部個別日程・理工系学部での「理科設問選択方式」がすでにありますね。

また、商学部が実施する公募推薦入試において、商業科や商業に関する科目を設置している高校以外の学校からも出願可能にするなど、出願に必要な要件が緩和されています。ただし、出願資格として必要な商業に関連する検定等の資格取得に関しては従来通りなので、注意が必要です。

AO入試においても変更点があります。外国語学部で「将来目標評価型」なるものが新設されます。詳細をお知りになりたい方は大学HPや入試要項等でご確認下さい。

最後に、とっておきの情報があります。

(さらに…)