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開成教育グループ


数学と科学・技術 その3

みなさん、こんにちは。めっきり寒くなりましたね。風邪などひいていないでしょうか?受験では、体調管理がもっとも重要になります。気を付けてください。
さて今回は、数学と音の話をしたいと思います。みなさんの中には、音楽を聴いたり、実際自分で音楽を演奏したりしている人がたくさんいると思いますが、どうして、音楽を理解していない楽器からあんなにきれいな心地よい音がでるのでしょう。「えっ、音を鳴らせるから楽器なんじゃない?」と思う人もいるかもしれませんが、実は、いつ音を鳴らしても同じ音を出すというところに、数学が使われています。皆さんは、音が空気を伝わってくるということはご存じだと思います(空気のない月や宇宙では音が聞こえないと聞いたことがある人もいるでしょう)。この、空気を伝わる音は、高校で習う三角関数であらわされることが知られています。

sin2πft

ここで、 f と書いているものが重要なのですが、それは周波数と呼ばれ、1秒間に何回空気が振動するかを表します。音でいうと、これが音の高さを表していて、値が大きいほど高い音、小さいほど低い音になります。国際的には f=440Hz がラの音だと決まっています(ただしこの音は、楽器を鳴らしたときの音色があるラではなく、むしろ、テレビの放送が終わった後に時々流れるピーという音に近いです)。ラ以外の他の音についても値が決められていて、下の表のようになります(小数点以下一位まで記しています)。

音程 ファ
周波数(Hz) 261.6 293.7 329.6 349.2 392.0 440.0 493.9 523.3

現在の音符は、ドレミファソラシドを繰り返していますが、上の表でもわかることとして、左側のドと右側のドは、周波数で2倍の違いになっています。一般に、1つ高い音(1オクターブ)で2倍の周波数になるというのが基本です。
さて、音を数字で表して一体なんの利点があるのでしょう。人によっては、「そんなことをしたら情感が失われる」と思う人もいるかもしれません。ところが、数字で表すことで、たとえば調律をすることができます。今、二つの高さが近い音(周波数 f と f’)があるとしましょう。この状況は数式では、

sin2πft+sin (2πf’ t)

で表されます。ところが、三角関数の所で習う和積の公式(導けるようになるよう指導されている人もいるでしょう)を使うと

2 sin π(f+f’ )t cos π(f-f’ )t

と変形できます。ここで f=440×2 (通常のラの1オクターブ高いラ)、f’=293.7×3 (楽器でレの音を鳴らせば、この周波数の音も自然に出ます。レの3倍音と呼ばれます)だとしてみましょう。すると、f’-f=1.1 となります。すでに三角関数を習っている人は、cos at の周期が 2π×(aの逆数) であることを習ったと思いますが、それを使うと上の式の cosπ(f-f’ )tのところの周期が 2÷1.1 でおよそ2 になることが分かります。これは音で言うと、実は1秒間に 2 回うなり(ゥワーン、ゥワーンと聞こえる音)となって耳に入るということがわかっています。実際に調律をするときは、このうなりの回数が1回でも3回でもなく、2回だということを利用しています。こうしてラとレの音を調整し、他の音に関しても、同じようにうなりを使って調整し、最終的にドレミファソラシドのすべての音を正しく出るようにしているそうです(上に書いた例はわかりやすくするため、実際の調律とは少し変えて説明しています)。
いかがでしょうか。数学と音楽などは全く別の方向を向いているものと思っている人の方が多いと思いますが、こんなところに関係があったりします。そして音を奏でる楽器を作る技術として使われているのです。数学と音楽の関係は他にもあります。なぜドレミファソラシドなのか、ということにも数学的理屈があったりします。そこでは指数関数が使われたりします。一度調べてみるとおもしろいことが見つかるかもしれません(古代ギリシャ時代から現在まで続いている歴史を発見できます)。もちろん、数学を使って音楽を鑑賞しないといけないわけではないですが(私もそんなことをしているわけではないですが)、情感だけでなく、知性をもって物事に向き合っていくことで、気づかぬうちにいろいろな能力を身につけることができます。

開成ハイスクール数学科 村上豊

 

 


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