大阪・滋賀・京都・兵庫・奈良・徳島・東京・埼玉に展開する小学生・中学生・高校生 クラス指導、個別指導の進学塾・学習塾

開成教育グループ


2012 年 11 月 のアーカイブ

新指導要領と数学(その2)

2012 年 11 月 26 日 月曜日

今回は、前回(6月25日掲載分)に引き続き、新指導要領の話をしましょう。前回は、情報化社会の中で使われる「統計」の話をしましたが、今回はもう一つの大きな変化である、「整数」を取り上げます。
みなさん、「整数」というものが何なのか覚えていますか?「整数」とは、1、2、3、4、・・・というように数える「自然数」と、0と、負の数(-1、-2、-3、-4、・・・)を合わせたもののことでした。ではなぜ、そんなものを習うのでしょう?ここでは、まず、「誕生日当てクイズ」ということで話を進めていくことにします。

ここに、8月22日が誕生日のS君と、その先生のT先生がいたとして、次のような会話が始まったとします。
T「さてさて、S君。私は君のことなら何でもわかっている。その証拠に、今から君の誕生日を当ててみようではないか?」
S「(なんか胡散臭い先生だな。)ええ、いいですよ。どうぞ。」
T「それでは、君の生まれた日を頭に浮かべるがよい。」
S「(22日生まれだから、22だな。)はい、どうぞ。」
T「では、その数字を10倍して、生まれた月を足してみるがよい。」
S「(えーっと、22×10に8月生まれの 8 を足して228か。)先生、変な口調ですね。」
T「わはははは、君の誕生日が見えてきたぞ。では次にその数を3倍するがよい。」
S「(暗算苦手だな、228×3で、えーっと、さんぱにじゅうしの・・・684かな)はい、出来ました。」
T「では、その数から生まれた月の2倍を引いて答えを言ってくれたまえ。」
S「はいはい。(684から2×8の16を引いて・・・、)えーっと、668です。」
T「君の誕生日を当てて見せよう。8月22日、これに相違ないな。」
S「えー、なんでわかったんですか?」

さて、以上の誕生日当てクイズの仕組みは、実は高校で習う「不定方程式」と絡んでいます。謎解きをするなら、次のようになります。(少し数式が出てきますが、我慢して下さい。)誕生日を x 月 y 日とすると、S君がした計算は次のようになります。確認してみて下さい。

そしてS君が出した答えが668なので、

が解ければよいことになります。そして実は、この方程式(この種の整数解を求める方程式を不定方程式と呼びます)の解き方をいろいろと高校で習うことになるのです。ここでは、やり方のみを書いておきましょう。668を y の係数 30 で割った余り 8 が x の値です。すなわち、8月生まれだと分かります。一方、30で割った商 22 が y の値です。つまり 22 日生まれだと分かるのです(実際に他の誕生日でいろいろ試してみると理解が深まります)。
長々と書きましたが、どうでしょうか?単なる余興じゃないか、と思う人もいるかもしれません。ところが実は、これも、近年の情報化社会と大きく結び付いています。情報化社会では、情報を公開するだけでなく、秘密を保つ必要もあります。そして、上の話は、情報を秘密に保つという視点からいうと、次のようにまとめる事ができます。もともと8月22日という意味のあるデータが、ある計算の結果668という、意味のないデータに変わっています。したがって、単にこのデータを見ただけでは、からくりの分かっていないS君にとっては、何の数字かわかりません。ところが、暗号の作り方と解き方を知っている者(T先生)にとっては、8月22日という意味のあるデータを復元できるのです(実際の秘密通信では、暗号の作り方が分かっても簡単には解読できないような整数を使ったからくりが使われています)。
数学というものは、現代の社会の中でこっそりと応用されています。なかなか気づきにくい知恵であったりします。意味がわからないことが多くて、苦労することもあると思いますが(実際、私もそうでした)、学ぶことには果敢にチャレンジしてください。知らないで生きるよりも、知って生きる方が何倍も豊かな生き方ができますから。

開成ハイスクール数学科 村上 豊

今年を振り返り…

2012 年 11 月 19 日 月曜日

 風邪の流行る季節、皆さんは体調を崩していませんか?特に高3生は、常に万全の体調で、最後まで頑張りきることができるよう、細心の注意を払って下さいね。

 さて、今年も残すところあと1ヶ月ほどになりました。2012年はどんな年でしたか?勉強や部活動、友達関係など、今年を振り返ってみて下さい。やること成すことが全て上手くいった人よりも、どちらかと言えば、上手くいかなかった人の方が多いかもしれません。私自身、授業を振り返り「もう少し上手く解説できたなぁ」と思うこともありました。
 今年を振り返り、「あかんかったなぁ」と思った人は、必ず「反省」をして下さい。ただ頭の中で反芻をしても、あまり効果はありません。きちんとノートに反省点を書き出す作業が必要です。頭の中で考えただけでは忘れてしまいがちですが、書いて残しておくことで、何日・何ヶ月経っても振り返ることができますし、当時と比較して成長を確認することもできます。
 もちろん勉強も同じですね。テストなどで出来なかった単元を「反省」⇒「復習」することで、自分の弱点を埋めることが出来るわけです。この当たり前の、小さなことの積み重ねが、やがて大きな成長を生むのです。
  
 
開成ハイスクール数学科 鈴木悠太

受験期の大切な思い出

2012 年 11 月 12 日 月曜日

 こんにちは。日に日に冬を感じるようになってきましたが、みなさんは風邪などで体調をくずしていないでしょうか。これからより寒くなっていきますから、防寒や帰宅後のうがい手洗いを徹底し、いつも万全な体調でいられるよう、心掛けてください。

 さて今回は、私自身のことをお話ししたいと思います。
 センター試験まであと数週間と迫っていた年明けの1月2日ことです。クリスマスや正月などのイベントごとのせいか、あまり勉強に集中できず、その日は朝早くから、箱根駅伝のテレビ中継を見ていました。応援している選手や大学があるというわけではなく、ただ勉強へのやる気のなさを忘れるがために、一生懸命に走る選手たちをボーっと見ていました。その時、携帯電話が鳴り出しました。相手は小・中学校の同級生で、何気なく私がどうしているのかを心配して、電話をかけてきてくれたようでした。久しぶりの旧友との時間に懐かしさと嬉しさを感じ、彼とたくさん話をしました。彼の受験の話や大学生活の様子、私が直面している受験への焦りや勉強ができていない状況など、楽しい話ばかりではありませんでしたが、あっという間の1時間でした。そして、その電話の後からは、それまで以上に頑張って勉強することができました。なかなか進まずにいた英語の勉強も前向きに取り組んでいきました。彼から何か特別なアドバイスをもらったというわけでもありません。しかし、確実に何かが変わった瞬間、まさにあの電話が私の受験における最大の「分岐点」だったのでしょう。

 寒さを感じるこの季節になると毎年思い出します。私自身のしんどかった受験勉強を、彼への「感謝」の気持ちと一緒に。そして、そんな経験から、大学受験に挑むみなさんが大きな壁を乗り越えていけるように、しっかりとサポートしていきたいと強く思います。
 
 
開成ハイスクール数学科 光畑雄策

高3生を担当する者の楽しみ

2012 年 11 月 5 日 月曜日

高3になると、単元別に出題されるセンター試験対策の授業は別として、数学の授業も単元別の指導ではなく、入試問題を想定した演習形式の授業になります。その中では、ある程度の枠組こそはありますが、ランダムに与えられた問題を、どの単元の問題として扱えるか自分で考え、どの解法を選択するかを考えていくことが必要になります。これに慣れてくると、一つの問題に対してもいろいろな発想をすることが可能になっていき、一見何をしてよいかわからないような問題に対しても、何をしてよいかわからないから白紙、ではなく、何かを試してみるということができるようになってきます。もちろん、そのように試してみても必ず正解にたどり着ける答案は少ないのですが、数学的に矛盾していることさえしなければ、計算量の多寡はある(ほとんどの場合ここに挫折の原因があります)にせよ、正解には到達できるものです。
ということで、高3のクラスを担当するときには、毎年楽しみにしていることがあります。それは、私が考えもしていなかった解法です。私もできるだけ多くの発想を想定しているつもりなのですが、所詮一人の人間がすることに過ぎません。それをすり抜けてくる答案が出てきます。これがそんなにたくさん(これだと私の能力に問題があります)というわけではありませんが、年に数回はやってきます。
今年も当然そういう答案がやってきます。とくに、今年出会った答案の一つは、私も事前に試しつつもこれではちょっと無理かと思っていたアプローチ方法によるものだっただけに、私は素直に負けを認めざるを得ませんでした。こういう解答に出会うのが、やはり最大の楽しみなのです。
いろいろな答案に出会いますが、それに対して心掛けていることがあります。その一つは、想定外の解法を見事にやり遂げた答案に対しては潔く負けを認めることです。私は高校時代、逆の経験をしています。ただし、それは数学の授業ではなく、現代文の授業のことでした。与えられた文章を50字で要約するという課題に対して、生徒が順々に解答を発表していく中、私も指名されました。答を読み上げると、先生は何も言いません。直しようのないひどい答えなのかなと思っていると、しばらくして「もう一回読んでください。」もう一回読むと、再び沈黙が続いたのちにおもむろに「それを模範解答にします。」と言われました。その後、先生は潔く「自分の用意していた解答より、いい解答だった。」と言われ、さらにこんな風にもできると、別の答えを紹介しつつ「う~ん、負け惜しみですね~、勝てませんね~。」と楽しそうに言われていました(めったに誉められることがないだけに呆れるほどよく覚えています)。私もこの姿勢を見習わなければと思っています。教師だって完璧ではありません。負けて当たり前です。というか、早く負かしてもらわないと困るのです。私を超えなければいけないのです。高校時代の教師なんて、さっさと超えるべき存在にすぎません(こう書きつつも自分としては悲しいですが)。
もう一つ心がけていることは、どんな解答でも、頭からは否定しないことです。間違ってはいなくても苦労が多すぎる解答に対しては、打開策を示す。トンチンカンな解法でも、間違っているところが何か指摘する。できるだけのことはしようと心がけています(いや、頭ごなしに否定されたことがある、という人がいたらごめんなさい。さっきから言っている通り、教師は完璧では全然ありません)。プライドが許さないのか、「自分の教えた解き方ではない」だけの理由で減点したりする人もいると聞きます。これだけはしないでおこうと心がけているつもりです。
そのかわり、答案作成についても心掛けてほしいこともあります。それは最低限の読みやすい字でできる限りの説明をしてほしいことです。入試においてもそのことによって思いがけない発想が見逃されかけたことがあります(詳細につきましては岩波新書の「学力が危ない」の上野健爾先生の書かれている部分を参照してください)。

開成ハイスクール 片岡尚樹