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通奏低音を奏でる

2014 年 3 月 3 日 月曜日

2014 年度の大学入試も 2 月 25 日,26 日の国公立の前期日程試験を終えて,終盤へと向かいつつあります.この時期,今年出題された大学入試問題に目を通していくことは,ある意味,楽しみでもあるのですが,これまでの指導がこれでよかったのか,を問われる「試験」でもあり,ある意味不安でもあります.

その中で目を引いたのは,京都大学の英語の問題でした.数学者の発想について書かれた英文が出題されていました.そこには,数学者の功績には,直観と呼ばざるをえないものが大きな役割が果たしている,すなわち,突然の論理の大きな飛躍がその功績を生み出したのだとありました.

当然ですが,数学は論理を極めて重要視する学問です.ユークリッドの「原論」によって,まず「定義」「公理」を定め,そこから論理的に「証明」を行うことで,次々と「定理」を産み出していきます.しかし,それだけではないということです.新たな発見には,直観的なひらめきが必要だということです.

これは高校レベルの数学の問題を解くときにも感じます.もちろん,高校で扱う数学は,数学者が扱うようなオープンプロブレムではなく,きちんとした「解答」がありますから,数学者の扱う数学とはまったく次元が異なるものです.しかし,いくらきちんと解いていっても,「こんな発想どこから来るのだ」という問題にぶち当たります.

「こんなの思いつかない」「なかなかできるようにならない」と言われる問題があるたびに感じるのは,それは単なる勉強不足ではなく,数学者の次元とはまるで異なるものではあるのでしょうが,何かが数学の問題を解く上で必要なものが根底に,通奏低音のように流れているのではないか,ということです.そしてそれを知らず知らずのうちに体感している人が,いわゆる「センスがある」と呼ばれるようになる,と感じます.

さらに,複数の科目を教えると,どの科目にも通じるいわゆる「学ぶときの通奏低音」が存在しているようにも感じます.それぞれの科目によって,必要とする知識の多寡は,あるいはレベルは異なるにせよ,その科目を扱う上で必要な最低限の知識を定着させたなら,あとはその調べにのるだけである程度はできてしまうのではないでしょうか.

この通奏低音をどうすれば聞き取れるようになるのか,それはやはり「経験」なのだろうと思います.あとは「考える」ことでしょうか.諦めずに耳を傾ける必要があるのだと思います.そんな中で知らず知らずのうちに体感でき,その調べに乗れるようになるのだと思います.おそらく聞き取れるようになった瞬間はわからないように思います.「気がついたらできるようになっていた」というのがこれじゃないのかと思います.

もちろん典型的な問題の解法をきちんと伝えることも重要なのですが,それと同時に,授業の中で,学ぶことの根底にある通奏低音を奏でていく,それが必要だなと感じています.

開成ハイスクール 片岡尚樹

受験生とセロトニン

2014 年 2 月 17 日 月曜日

入試本番はとにかく緊張するものですが、極度の緊張状態にならないよう普段から対策をとっておきたいものです。

セロトニンというホルモンを知っていますか?

セロトニンは、受験生にとって必須のホルモンです。
効能⇒ ①ストレスに強くなる
②感情のコントロールや、心のバランスを保つ
③精神を安定させるなど「安らぎ」を与えてくれる
④睡眠を引き起こすメラトニンを助け、快眠につながる

このセロトニンを分泌しやすくするために気をつけたいことがあります。

1.勉強の休憩中に必ず深呼吸する
浅い呼吸ばかりで生活していると免疫低下につながるそうです。深い呼吸も必ず必要。家ではストレッチなどをしながら深い呼吸を。深呼吸はセロトニン分泌につながります。

2.休憩時間に首を数回まわすなど必ずストレッチを
首を動かすと、大量の電気信号が伝わり、セロトニンの生成・分泌を増やしてくれます。

3.勉強を夜遅くまでやりすぎない
睡眠不足・過労によってセロトニンの分泌が減ります。こうなると不安感が増幅。当日、極度の緊張状態になる可能性があります。必ず体調を整えることを優先して下さい。

4.早寝早起き、起きたら日光を浴びる
セロトニンは日中の明るい時間帯に多く分泌されるホルモンで、朝の太陽の光を浴びるとセロトニン分泌のスイッチが入ります。「夜遅くまで勉強し、昼に起きて」を繰り返すと当日、集中力・思考力が欠けてしまいます。

5.食事の際、よく噛む
咀嚼(かむこと)などの反復動作はセロトニンの分泌を活発にします。

6.トリプトファンを増やす食事をする
⇒セロトニンと相性のよいトリプトファンを摂ることで効果大に。
①カツオ・マグロなどの赤身肉
カツオ、マグロなどの赤身には、セロトニンを作るトリプトファンとビタミンB6両方がたっぷり含まれています。
②豆腐、豆乳、納豆、みそ、チーズ、ヨーグルト
良質なトリプトファンとタンパク質を取ることができます。朝食に食べると腸の調子も整えてくれるので一石二鳥。
③しょうが、ニンニク、とうがらしなどの調味料
ビタミンB6がたっぷり摂取できる調味料。体の芯から温めてくれるので免疫低下を防ぐ。
※特に大豆、豆類、穀類などは植物性タンパク質で、脳内でのセロトニンの材料として利用されやすいので、できれば毎日食べたいものです。

入試当日、みなさんが普段の力を存分に発揮できるよう心から祈っています。

開成ハイスクール英語科 大道英毅

私の大学受験(その7)

2013 年 9 月 24 日 火曜日

(2013年1月7日「私の大学受験(その6)」からの続きです。)

こんにちは。

センター試験当日。私は学生服を着て会場へ赴きました。高校の制服が学生服で、学校で勉強するときはもちろん、帰宅後も着替えるのが面倒くさく、制服を着たまま勉強を続けていたので、私服で試験に臨むのは居心地悪く、神聖な入試に対して失礼なようにも思われたのです。
道具の準備も万全です。筆記用具は、自分の知識・能力を紙の上に具体化するものとして、いわば「体の一部」であり、その準備も怠るわけにはいきません。新しい鉛筆を10本、すべて両端を削り、ペンケースの中で折れないようにキャップをはめる。新しい消しゴムを2個、紙のケースを剥がし、机から滑り落ちにくくしておく。それから…、物差しが持ち込めないので、鉛筆の側面に1センチ間隔で印を刻み、その代用物とする。それでも不安だったので、文房具店へ行き、あれこれ物色ののち、刃先がちょうど1センチの小さなカッターナイフを購入。その1センチを目安に直線の長さの見当がつくはず。
もちろん、数学の試験で、長さを測っただけで解答が得られるような、そんな単純な問題など出題されるわけがありません。でも、そこまでして、点数が欲しかったのです。学生服もカッターナイフも、入試に対する私のこだわり、「心づくし」であり、すべての可能性を吟味し、少しでも有利な条件を整える、そのための一つ一つだったのです。
これまでの自分の努力を、微塵もムダにしたくなかったから。本当に頑張ってきた自分自身に、すべて報いたかったから。

前夜の雪が解け残る池沿いの道を一歩一歩、試験会場の大阪大学へ向かう私の頭には、もう一点の曇りもありませんでした。その同じ道を、今は通勤で毎日歩きながら、あの頃の、あの受験勉強を、なんとも清々しく思い出すのです。

センター試験の結果。777点。
つづく

新指導要領と数学(その5)

2013 年 7 月 22 日 月曜日

みなさん、こんにちは。暑い夏真っ盛りですね。高3生のみなさんは、ここが正念場、決して弛むことなく、現役合格を目指して、勉学に励んでください。
さて、前回(5月7日)に引き続き、新指導要領と数学の話を続けたいと思います。今回は、指導要領が改定されることで、高校数学からはずれてしまう「行列」について書くことにします(したがって、行列を習うのは、現高3生で、高1・2生は習う機会はないと思います)。
さて、「行列」というと、店先に並ぶ長い列のことを真っ先に思い浮かべるでしょうが、数学でいう「行列」とは,下のような数字を縦横に並べたもののことを表します。

そんなものを考えて何の役に立つのだろうと思うでしょうが、ここでは行列の応用である「一次変換」に触れることにしましょう。「一次変換?また妙な単語がでてきたな。一次関数なら聞いたことがあるけど・・・」と思った人は、実はかなりいい線をついています。「一次変換」とは「一次関数」をさらに精密にしたものとも考えることができるので、まずは「一次関数」から思い出すことにしましょう。
「一次関数」とは、「2倍する」や「10倍する」など、「何倍かする」ということの総称でした(一次ってどういう意味?ということは、今回は触れないことにします)。「3を2倍して、6」だとか、「持ち点が10倍になって、大逆転!」などというように使ってきたと思います。ところが世の中には、単に「2倍する」というだけでは、うまく表現できない「何倍かするというもの」があります。下の図を見てください。開成ファミリーから、ピヨ彦君に登場してもらいます。

このような図があると、「横に2倍する」とか、「縦に3倍する」などというように、「何倍かする」ということを正確に指定するには、方向まで考えないといけません。実際、下のアニメーションのように、横に何倍かされたり、縦に何倍かされたりすることで、それぞれ違う印象を生み出したりします(「何倍かする」以外に、頬を染めるなど少し加工してあります)。

このようなものが「一次変換」の一種です。そして実は、「行列」を使って「縦に何倍」とか「横に何倍」などの操作をしているのです。また、「一次変換」は「何倍かする」以外のものもあります。例えば、「横にずらす」とか「縦にずらす」などが一次変換の別の例です。次のアニメーションを見てください。

「左横にずれる」→「右横にずれる」→「上にずれる」→「左上にずれる」という「ずれ」の動作を繰り替えしています(「ずれ」以外に少し加工していますが・・・)。
そして最後に、「ずらす」以外に「回転する」というものも、「一次変換」で表されることが知られています。

いかがでしたでしょうか。小学校で習った「何倍かする」というものも、より精密に高度に一般化して考えると、かなりいろいろなことができるのだな、と思えませんか?残念ながら「行列」は、今回の指導要領の改訂で高校数学からなくなりますが、大学で改めて習ってみたり、社会に出てから触れてみたりすると、今まで知らなかった世界が見えてきて、おもしろいかもしれません。ぜひ学び続けてください。

開成ハイスクール数学科 村上 豊

受験は団体戦

2013 年 2 月 25 日 月曜日

まだまだ寒い日が続きますが、もうすぐ新しい出会いの季節がやってきます。現高3生の皆が4月に志望大学の門をくぐれることを願うばかりです。
この時期になると、自習室で勉強する新高3生(現高2生)の数が増え始めます。大学受験まで1年を切り、本格的に受験勉強に取り組み始めるのです。「受験は団体戦」という言葉をよく耳にしますが、私が高校生の頃はこの言葉の本質をよく理解していなかったように思われます。テストや入試では、自分1人の力で問題を解かなければなりません。勉強するときも周囲に友達がいれば、おしゃべりして気が散ってしまうと考え、1人で自習するようにしていました。
しかし、生徒たちの様子を見ていると、「受験は団体戦」という言葉が間違っているとは思えないのです。A君という生徒が自習していると知ったB君が自習室に通うようになったり、数学が苦手なCさんに数学が得意なDさんが教えていたり、仲間同士でいい刺激を受けているようです。
「チームが一丸となって一つの目標に向かうとき、チームメイト全員が自分の能力を超えたとてつもない力を発揮することがある。」これは「フロー理論」と呼ばれているものです。
競争するのではなく、協奏する。敵ではなく、仲間をつくる。これが受験勉強だけでなく、これから学校を卒業した後の社会生活においても必要となる基本姿勢なのかもしれません。

開成ハイスクール英語科 津留天然

私の大学受験(その6)

2013 年 1 月 7 日 月曜日

(2012年12月25日「私の大学受験(その5)」からの続きです。)

こんにちは。

とにかく孤独でした。明けても暮れても勉強のことしか頭になく、歩いているときも英単語の確認、学校の休み時間も数学の問題演習、風呂の中では世界史の教科書暗記。外界との接触を自ら断ち、家族との会話も途絶え、友人と談笑することも全くない毎日。勉強に埋没し、自分の中に引きこもり、憔悴したその顔は、笑うことを忘れてしまったかのようでした。それを孤高の美学にすり替え、自らを正当化しようとするも、寂しさは抑え難く募るばかり。鬱々とした気持ちは、日に日に私の気力をむしばんでいきました。
そんなとき、ふと思い出した言葉があります。「ソクラテスは穴に落ちた。夜空の星を眺めていて、穴に落ちたのだ。君はこのソクラテスを笑えるか。」これは、かつて私が通っていた学習塾の教室の壁に大きく貼られていたものです。これを初めて読んだとき、私は「物事に没頭することの尊さ、その真摯な態度を決して笑ってはいけない。」というメッセージとして解釈しました。しかし、「そうではない」と思い至ったのです。没頭のあまり周囲を見失い、自分を見失うことの愚かさは、一笑に付すべきものである、ということではないだろうか。私は、まさに「穴に落ちた愚かなソクラテス」だったのです。
どちらの解釈が正しいのかはわかりませんが、少なくとも私は、孤独が受験勉強にもたらすマイナスの側面に気付いたのです。もちろん勉強は自分でするものであり、その意味での孤独は必要です。しかし、バランスを欠いた過度の孤独に自らを追いやることは、活力を減退させ、目標達成を遠ざけてしまうことになりかねません。
「リハビリ」として、まず私がしたことは、「愚かなソクラテス」を笑うことでした。鬱屈した表情を笑いに変えることでした。そう、鏡に向かって自分に笑いかけたのです。ぎこちない表情でした。何度もやっているうちに、そんな自分がバカバカしくなって、つい本気で笑ってしまいました。久しぶりに見る私の笑顔。無性に自分が懐かしく思え、気づくと笑顔は泣顔に…。
その晩、いつもは勉強部屋で済ませていた夕食を、両親と一緒にとりました。

つづく

新指導要領と数学(その2)

2012 年 11 月 26 日 月曜日

今回は、前回(6月25日掲載分)に引き続き、新指導要領の話をしましょう。前回は、情報化社会の中で使われる「統計」の話をしましたが、今回はもう一つの大きな変化である、「整数」を取り上げます。
みなさん、「整数」というものが何なのか覚えていますか?「整数」とは、1、2、3、4、・・・というように数える「自然数」と、0と、負の数(-1、-2、-3、-4、・・・)を合わせたもののことでした。ではなぜ、そんなものを習うのでしょう?ここでは、まず、「誕生日当てクイズ」ということで話を進めていくことにします。

ここに、8月22日が誕生日のS君と、その先生のT先生がいたとして、次のような会話が始まったとします。
T「さてさて、S君。私は君のことなら何でもわかっている。その証拠に、今から君の誕生日を当ててみようではないか?」
S「(なんか胡散臭い先生だな。)ええ、いいですよ。どうぞ。」
T「それでは、君の生まれた日を頭に浮かべるがよい。」
S「(22日生まれだから、22だな。)はい、どうぞ。」
T「では、その数字を10倍して、生まれた月を足してみるがよい。」
S「(えーっと、22×10に8月生まれの 8 を足して228か。)先生、変な口調ですね。」
T「わはははは、君の誕生日が見えてきたぞ。では次にその数を3倍するがよい。」
S「(暗算苦手だな、228×3で、えーっと、さんぱにじゅうしの・・・684かな)はい、出来ました。」
T「では、その数から生まれた月の2倍を引いて答えを言ってくれたまえ。」
S「はいはい。(684から2×8の16を引いて・・・、)えーっと、668です。」
T「君の誕生日を当てて見せよう。8月22日、これに相違ないな。」
S「えー、なんでわかったんですか?」

さて、以上の誕生日当てクイズの仕組みは、実は高校で習う「不定方程式」と絡んでいます。謎解きをするなら、次のようになります。(少し数式が出てきますが、我慢して下さい。)誕生日を x 月 y 日とすると、S君がした計算は次のようになります。確認してみて下さい。

そしてS君が出した答えが668なので、

が解ければよいことになります。そして実は、この方程式(この種の整数解を求める方程式を不定方程式と呼びます)の解き方をいろいろと高校で習うことになるのです。ここでは、やり方のみを書いておきましょう。668を y の係数 30 で割った余り 8 が x の値です。すなわち、8月生まれだと分かります。一方、30で割った商 22 が y の値です。つまり 22 日生まれだと分かるのです(実際に他の誕生日でいろいろ試してみると理解が深まります)。
長々と書きましたが、どうでしょうか?単なる余興じゃないか、と思う人もいるかもしれません。ところが実は、これも、近年の情報化社会と大きく結び付いています。情報化社会では、情報を公開するだけでなく、秘密を保つ必要もあります。そして、上の話は、情報を秘密に保つという視点からいうと、次のようにまとめる事ができます。もともと8月22日という意味のあるデータが、ある計算の結果668という、意味のないデータに変わっています。したがって、単にこのデータを見ただけでは、からくりの分かっていないS君にとっては、何の数字かわかりません。ところが、暗号の作り方と解き方を知っている者(T先生)にとっては、8月22日という意味のあるデータを復元できるのです(実際の秘密通信では、暗号の作り方が分かっても簡単には解読できないような整数を使ったからくりが使われています)。
数学というものは、現代の社会の中でこっそりと応用されています。なかなか気づきにくい知恵であったりします。意味がわからないことが多くて、苦労することもあると思いますが(実際、私もそうでした)、学ぶことには果敢にチャレンジしてください。知らないで生きるよりも、知って生きる方が何倍も豊かな生き方ができますから。

開成ハイスクール数学科 村上 豊

高3生を担当する者の楽しみ

2012 年 11 月 5 日 月曜日

高3になると、単元別に出題されるセンター試験対策の授業は別として、数学の授業も単元別の指導ではなく、入試問題を想定した演習形式の授業になります。その中では、ある程度の枠組こそはありますが、ランダムに与えられた問題を、どの単元の問題として扱えるか自分で考え、どの解法を選択するかを考えていくことが必要になります。これに慣れてくると、一つの問題に対してもいろいろな発想をすることが可能になっていき、一見何をしてよいかわからないような問題に対しても、何をしてよいかわからないから白紙、ではなく、何かを試してみるということができるようになってきます。もちろん、そのように試してみても必ず正解にたどり着ける答案は少ないのですが、数学的に矛盾していることさえしなければ、計算量の多寡はある(ほとんどの場合ここに挫折の原因があります)にせよ、正解には到達できるものです。
ということで、高3のクラスを担当するときには、毎年楽しみにしていることがあります。それは、私が考えもしていなかった解法です。私もできるだけ多くの発想を想定しているつもりなのですが、所詮一人の人間がすることに過ぎません。それをすり抜けてくる答案が出てきます。これがそんなにたくさん(これだと私の能力に問題があります)というわけではありませんが、年に数回はやってきます。
今年も当然そういう答案がやってきます。とくに、今年出会った答案の一つは、私も事前に試しつつもこれではちょっと無理かと思っていたアプローチ方法によるものだっただけに、私は素直に負けを認めざるを得ませんでした。こういう解答に出会うのが、やはり最大の楽しみなのです。
いろいろな答案に出会いますが、それに対して心掛けていることがあります。その一つは、想定外の解法を見事にやり遂げた答案に対しては潔く負けを認めることです。私は高校時代、逆の経験をしています。ただし、それは数学の授業ではなく、現代文の授業のことでした。与えられた文章を50字で要約するという課題に対して、生徒が順々に解答を発表していく中、私も指名されました。答を読み上げると、先生は何も言いません。直しようのないひどい答えなのかなと思っていると、しばらくして「もう一回読んでください。」もう一回読むと、再び沈黙が続いたのちにおもむろに「それを模範解答にします。」と言われました。その後、先生は潔く「自分の用意していた解答より、いい解答だった。」と言われ、さらにこんな風にもできると、別の答えを紹介しつつ「う~ん、負け惜しみですね~、勝てませんね~。」と楽しそうに言われていました(めったに誉められることがないだけに呆れるほどよく覚えています)。私もこの姿勢を見習わなければと思っています。教師だって完璧ではありません。負けて当たり前です。というか、早く負かしてもらわないと困るのです。私を超えなければいけないのです。高校時代の教師なんて、さっさと超えるべき存在にすぎません(こう書きつつも自分としては悲しいですが)。
もう一つ心がけていることは、どんな解答でも、頭からは否定しないことです。間違ってはいなくても苦労が多すぎる解答に対しては、打開策を示す。トンチンカンな解法でも、間違っているところが何か指摘する。できるだけのことはしようと心がけています(いや、頭ごなしに否定されたことがある、という人がいたらごめんなさい。さっきから言っている通り、教師は完璧では全然ありません)。プライドが許さないのか、「自分の教えた解き方ではない」だけの理由で減点したりする人もいると聞きます。これだけはしないでおこうと心がけているつもりです。
そのかわり、答案作成についても心掛けてほしいこともあります。それは最低限の読みやすい字でできる限りの説明をしてほしいことです。入試においてもそのことによって思いがけない発想が見逃されかけたことがあります(詳細につきましては岩波新書の「学力が危ない」の上野健爾先生の書かれている部分を参照してください)。

開成ハイスクール 片岡尚樹

人生のターニングポイント episode 1 私の場合

2012 年 10 月 29 日 月曜日

みなさんこんにちは。
人はみな、人生の中でいくつかの岐路に立たされます。私たちはみな、その分かれ道で進むべき道に悩み、自分で決めた道を歩んでいきます。時にその選択を誤る人もいれば、逆に大成功を収める人もいます。今回は、そんなことについて語ってみたいと思います。

私はよく生徒から、「先生は、なぜそんなに英語ができるの?」とか「先生、英語の発音いいですね」などと言われます。テスト対策で世界史や古文の質問に答えていると、「私は先生みたいに賢くないよ!」なんて言われたりもします。
しかし、今でこそみなさんの前に立って偉そうにものを教える立場にいますが、私の子ども時代は、「優等生」とはほど遠いものだったのです。小学校時代は落ち着きがなく、いつも担任の教師に叱られていましたし、中学校に入っても大した成績はとれていませんでした(英語はそこそこ成績がよかったのですが、まさか英語を教えることを職業とするなんて、当時は夢にも思っていませんでした)。
そんな私のターニングポイントは、ひょんなことから訪れました。中3に上がり、新しい英語の担当教師に、「英語のスピーチコンテストに出て見ないか」と言われました。正直「面倒くさいなぁ」と思っていましたが、「まぁやってみるか」といった軽い気持ちで参加を決めました。
それからというもの、6月から本番の11月まで、ほぼ休みのない練習を余儀なくされました。毎日1時間のマンツーマンの練習と帰宅後50回の音読練習は今でも忘れません。開始当初は意識が低かったため、学校での練習もサボっていましたし、家での練習は皆無でした。当然、担当教師に呼ばれて喝を入れられる羽目になるわけですが、その時の恩師の言葉が今でも忘れられません。

「このコンテストの練習を頑張れるかどうかで、この先に待っている、しんどいことから君が逃げずに立ち向かえるかどうかが試されているんだよ。任意参加なんだから,やめるんだったらやめてもいいけど、私は君に逃げてほしくない。君だったら絶対に県大会でトップを取れる。」

この日を境に私は変わりました。この練習への参加もそうですし、受験勉強においても以前は全くと言っていいほど手をつけなかった数学にも、少しずつ取り組むようになりました。他人の言うことを素直に受け入れるようにもなれたと思います。

結果、参加した滋賀県の3大会で2つの優勝と1つの準優勝を勝ち取り、高校に入っても英語の弁論を続け、県大会1位、近畿大会準優勝までのぼりつめました。これは上で述べた恩師の言葉がなくては絶対に成し遂げられなかった結果です。

その恩師のように、「自分の言葉で子どもの人生を変え、いい方向に導いてやりたい」と強く思う気持ちが、今の自分を支えています。この言葉があるからこそ、しんどいときも、楽しいときも頑張れるのだと思います。

私は塾講師という仕事を通して、みなさんの人生の「ターニングポイント」となれるよう日々頑張っています。「成績が上がらない」とか「今の自分をどうにかしたい」と思っている人は、是非相談に来て下さいね。

開成ハイスクール英語科

人は、目的に向かい命燃やす時に人

2012 年 10 月 15 日 月曜日

季節の変わり目です。
体調は崩していませんか?

高1・2生は定期テスト週間。
自習室やチューター制度を最大限に活用して、満足のいく結果を残しましょう。

高3は…、毎日多数の生徒と面談しています。
成績が伸びていくとモチベーションが維持できますが、
成績が伸び悩んでいるときは無力感に襲われます。

ただ、今は冷静にやるべきこと、私たちが計画してきたことを
粛々とやっていきましょう。
今のことだけを考えるのではなく、入試当日のことを考えて。

花は、その花開く時に花
鳥は、謳い羽ばたく時に鳥
人は、目的に向かい命燃やす時に人
この言葉は、私が浪人しているとき、寮長からかけてもらった言葉です。
正直、当時は何もわかっていませんでした。
しかし、今、私は深い意味を感じずにはいられません。

開成ハイスクール英語科 大道 英毅