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開成教育グループ


2011 年 2 月 のアーカイブ

いよいよ本格的に受験勉強を始める諸君へ

2011 年 2 月 28 日 月曜日

受験期とは、目標達成のプロセスを実体験する貴重な1年間。

 こんにちは。
受験勉強とは、「志望する大学に合格するために、ある一定期間勉強を継続して行うこと」ですね。ではその間に、受験生は何を身につけるのでしょう。入試を突破するために必要な知識や問題解答能力であることは言うまでもありません。しかし実は、それと同等に、いやむしろそれ以上に貴重なものを獲得するのです。
 それは、大げさに聞こえるかもしれませんが、「人生における目標達成を可能にする能力」です。「成功のプロセス」と言ってもいいでしょう。「成功」とは、「そうありたいと心から願う目標を、満足いく形で達成すること」です。そのためのノウハウを体得する可能性が、受験生には与えられているのです。
 目標達成には、自分の持ちうる資源をすべてその目標達成のために一本化しなければなりません。そしてその資源の最たるものが「時間」です。時間の有効活用こそ、成功を大きく左右するのです。そのためには、成功に至るシナリオ作り、つまり計画立てが必要となります。受験について話をするならば、諸君は1年後の入試のことを考えて、少し不安になりませんか。人間は、自分ではコントロールすることができない状況に対して、不安を抱くものです。1年先のことなど、漠然としていて管理するのはきわめて困難です。では、今日一日、わずか数時間先のことであればどうでしょう。なんとか制御できるのではないでしょうか。つまり、1年後の合格のためには、半年後にはこうなっていなければならない、そのためには1ヶ月後にはこうでなければならない、だとすると1週間でこれだけ、1日ではこれだけずつ、といった具合に、最終目標から中期目標、そして最後には1日単位の目標へと課題を明確にし、長きに及ぶ受験勉強を、制御可能な1日の単位に具体化するのです。「目標達成のためにするべきことを、1日単位で把握する」これこそが、成功を左右する時間の有効活用法なのです。
 目標達成には、もう一つ必要なことがあります。それは、「日々の実践」です。実際に行動しなければ、何の結果も期待することができません。まずとにかく、行動に移してください。例えば、ここに20mの飛び込み台があり、あなたは今そこに立っています。「さあ、プールに飛び込んで」と言われて一瞬ためらった人は、眼下のプールを覗き込んでしまい、恐怖心からなかなか飛び込むことができなくなってしまいます。一方、号令がかかってすぐさま飛び込んだ人はどうでしょう。恐怖を覚える間もなく、すでに結果が出ているのです。行動を先送りにすると、その分だけマイナスの感情は増幅します。
 さらに、「日々の実践」は習慣化しなければなりません。その日に行うべきことを毎日確実にこなしていくのが当たり前の状態になるまで、継続し続ける必要があります。この「習慣化」が確立されると、「日々の実践」も苦痛を伴わなくなり、目標達成のプロセスはようやく軌道に乗ったことになります。
 ところで、1日単位の目標をその都度達成し、それを習慣化する過程には、大きな障害が現れます。それは、「日々の誘惑」です。目標を達成したいと思うのが「願望」ならば、あれもしたい、これもしたいと思うのもまた「願望」です。人は、そして受験生も、レベルの違うこの2つの願望の葛藤に常々置かれています。この時、「日々の誘惑」を選択したならば、その人にとっての目標達成の願望は、本物ではなかったことになってしまいます。誘惑に負けそうになったとき、2つの願望を天秤にかけて、自分にとってはどちらの願望のほうが大きいのかを考えてみて下さい。そして、今時間をどう使えば、1年後自分はどうなっているのかを明確にイメージしてみて下さい。時間とは、出来事の連続です。「今」の連続が将来に直結しているのです。「目標達成に役立つかどうか」という基準に常に従って、行動に優先順位をつけるようにして下さい。

 私が述べてきたことは、諸君が将来掲げるであろう人生の大きな目標を達成する際に必要とされ、そしてもちろん、大学受験においてもそのまま実践すべき事柄です。多くの人は、自分に無いような特別の資質をあらかじめ持っている人だけが成功すると考えがちであるが、それは間違った考え方です。目標達成のノウハウは、経験により習得することができるのです。受験勉強とは、その過ごし方次第では、こうした能力を諸君が獲得することができる、そんな可能性を与えられた、きわめて貴重な期間なのです。受験において成功体験を得た人は、諸君が思う以上に大きな力を手に入れることになるのです。この有意義な期間を、決して不完全に燃焼することなく、将来の糧となるよう、積極的に、有効に過ごしていただきたいと思います。

成績を上げたいみなさんへ アドバイス

2011 年 2 月 14 日 月曜日

みなさん、こんにちは。今は2月、寒い季節でもあり、受験の季節でもありますね。高3生はまさに本番、高2生はいよいよ受験に向けて本格始動をする時期です。高1生の中には、高校受験の頃を思い出したり、密かに心の中で将来に向けて計画を練っている人もいることでしょう。いずれにしても、高校生の皆さんにとって勉強は大きな課題であり、成績を上げることは避けては通れない問題です。
では、どうすれば成績が上がるのでしょう?こればかりは、そんな単純な問題ではありません。しかし、次の経験則が知られています。格好をつけていきなり難しい問題を解くのではなく、易しい単純な問題から始めること。それがスタート地点です。そして、その問題を繰り返し練習することで意識せずとも解けるようになること。これが、第2段階です。簡単な問題だと侮って練習をしていないと、その時だけ分かったつもりになり、いざという時に応用が利かなくなります。特に高校の勉強は、なかなか自分の興味や、知っている知識と結びつかなく、つらく感じることがあります。なんのために勉強しているのか見失ったり、諦めたり、不平を言ったりしてしまいます。しかし、ここは我慢のしどころです。次の定期テストの目標を定めたり、もっと大きく、将来への展望を持ってみたりなどして、なんとしてでも乗り越え、成長してください。すると自動的に答えが頭に浮かんだり、意識せずとも問題が解けるようになる時が来ます。その希望を忘れないようにしてください。
でも、どうしてもうまく進まない、袋小路に陥っている気がする、停滞しているなど気持ちが上向きに向かないこともあります。そんな時はどうすればいいでしょう。どうしようもないのでしょうか?ところが実はそういう時こそが、大きなチャンスの時なのです。自分のやり方に非効率なところがないか、何か遠回りなことをしていないか、と振り返る時です。そして、先生や信頼できる人に相談する時でもあります。いろいろなことを聞いて、多くのことに気づいてください。そのときに気づいたことは、大きな糧になります。
困難なときこそチャンスがあり、飛躍するときだということを忘れないで下さい。そうして、停滞している時を乗り越えたら、成功するまで頑張ることが大事です。必ずうまいこと行くと信じて進むことで、強い芯のある歩み方が出来ます。そして、そこでの成功が他の分野への応用へと広がり、全体としての向上を導きます。希望をもち、くじけず、信じて進んでいってください。

数学科 村上 豊

ダニューブ・エクスプレス(その2)

2011 年 2 月 7 日 月曜日

 「シトー、エータ?」(これは何だ?)
 「エータ、……エーと、エーと」(これは……エーと、エーと)
ルーマニアとの国境の駅ウンゲニーで、ソ連からの出国審査が始まりました。そのとき、審査官と何回これを繰り返したでしょう。ふつうは入国審査の方が厳しく、出国審査は甘いものです。ハバロフスクでの入国は日本人が多いこともあって、ロシア人の入国審査官が日本語で棒読みする「それんのおかね(ソ連のお金)」という質問に対して日本語で「持ってません」と言うだけで済みました(他にも何項目か聞かれたのですがぜんぶ「ありません」「持ってません」と答えたことしか覚えていません)。荷物を検査されることもありませんでした。しかし、出国審査は長時間に及びました。
ウンゲニーに到着して小一時間ほど経ち、車両の切り離しの音も聞こえなくなった頃、彼がやってきました。長身で鋭い目線の男でした。David Bowieに似ているな、というのが当時の印象でした。まずはパスポートとビザ(査証)の確認から始まりました。ソ連のビザは3枚綴りになっていて、入国時に1枚切り取られ、出国時に残りの2枚が回収されます(つまりパスポートには何の痕跡も残らなくなります)。これは問題なく済みました。そして、荷物の検査が始まりました。最初は同じコンパートメントにいたイラク人留学生からでした。彼らはロシア語堪能であり、審査官と軽口をたたきながら検査を受けました。彼らの荷物はバッグ一つ、しかもその中は食料だけでした。当然すぐ終わります。次は私の番です。一応日本で買ってきた「ロシア語会話手帳」などというものと、ソ連に言ってから見つけた「露和会話集」を持ちながら、始めます。
トランクをひっくり返し、すべてを調べ始めました。彼のチェックポイントは中身そのものもそうですが、トランクの中に隠しポケットなどがないか、つまり何かを隠し持っていないかということに集中していました。持っていた本やソ連の空港においてあるのをいいことに持ち帰ったいろんな言語で書かれた小冊子(ソ連を宣伝するものだろうと思います。何せ読めないからわかりません。これは帰国後にお土産として便利でした)は、すべて一冊一冊見ていました。何かが本のどこかにはさんでいないか。それに集中していました。しおりがはさまっていたり、メモがはさまっていたりすると、それを入念にチェックしていました。そして、彼が何だか分からないものを見つけるたびに、冒頭の質疑応答となったわけです。ロシア語をほとんど知らずに行った私でも「シトー・エータ」は分かります。「エータ……」と答えればいいのも知っています。でもその後は言えません。何せ数ですら5までしか数えられないのですから。会話手帳にも露和会話集にもそんな単語は載っていません。そういうときにはすべてイラク人留学生たちが通訳してくれました(本当に感謝です)。ただ、審査官はどうもいろいろと疑念を抱いていたようです。
最後にボディーチェックが始まりました。探知機で調べていましたが、どうやらこれは手動で警報音を鳴らせるものらしく(意味ないやん)関係ないところでもわざとらしく鳴らしていました。ポケットの中のものを出させ、また一つ一つ調べ始めました。彼は定期入れを見つけ、中身を入念に調べ始めました。テレフォンカード(懐かしいものです。今でもありますが)がありました。彼はこう聞いたようです。
「このカードの穴は何であいているのか?」
こんな訳わからんこと聞くな、よう答えんやろと思いつつ、この質問には身ぶり手ぶりで何とか答えました。ただし、当時テレフォンカードのなかったロシア人にとってはかなり不可解なものであったようです。何せ、怪しげな自動販売機しかない国でしたから(余談ですが、先述の「ロシア語会話手帳」によると、「ソ連、特に中央アジアは乾燥した気候の国なので、街の至る所に飲料水を売る自動販売機がある」そうです。確かに自動販売機はありました。一カ所に5台くらいあったところもあります。しかし、1)まず動くかどうかわからない。誰かが使っているのを見たことがない。2)自動販売機からはジュースが出てくるだけで、備え付けの埃を被った共同のグラスでそれを受けて飲まなければならない。3)たとえジュースが出てきても、飽和砂糖水のように砂糖がジャリジャリいうほどの驚異的に甘いものなので喉の渇きを癒すどころではない可能性が高い、ということで使いませんでした)。
 次に出てきたものは某CDレンタル店のメンバーズカードでした。これがまたけったいなデザインのカードでした。審査官は私に直接聞かずにイラク人の留学生にこう言ったようです。
「これは何かの政治結社のメンバーズカードではないのか。この男はスパイではないのか?」
留学生が私に「お前が政治結社のメンバーではないかと聞いてるぞ」
と伝えてきました。もちろんかぶりを振りました。一瞬、極寒のシベリアが頭をよぎりました。シベリアに送られるのはごめんです(たぶんそんなことはないでしょうが)。これは面倒なことになりそうだと思ったのですが、何と、この審査官、もう仕事が長引いて面倒くさくなった(私の審査だけで1時間以上経っていました)のか、どう見てもスパイには見えないと思ったのか(本当は一番怪しいですがね)、どうせ出国するのだからどうでもいいやと思ったのか、私が否定したら、あっさりと引き下がったのでした。留学生たちにはいろいろと聞いていたようですが(ロシア語なのでわからない)、まあ大丈夫だろうという結論に達したようです。
 最後に外貨のチェックが始まりました。ソ連では入国時にいくらの外貨を持っているかを申請します。その申請用紙を出国時に提示し、それを上回る外貨を持っていると全額没収されるという規定がありました。これが最も緊張するものだったのですが、これはあっという間に終わりました。もう、審査官も疲れていたのでしょう。ソ連国外への持ち出しが禁止されているはずのルーブル紙幣も「いいやろ」ということで手元に残りました。これでやっと審査が終了です。
既にウンゲニー到着から3時間以上が経っていました。ウンゲニーの停車時間は2時間。トータルで3時間半ほど遅れて、ようやくソ連を出国できます。
(まだ続きます)

片岡尚樹

「品詞論」と「5文型」の重要性

2011 年 2 月 1 日 火曜日

 みなさんこんにちは。英語科の山本博貴です。今回は、高校英語で恐らく最初に学習する単元である「品詞論」と「5文型」の重要性について、今更ながら語りたいと思います。
 前回のブログで「和訳を徹底することで文構造の分析力を養うべし」ということが言われていましたが、その「文構造の分析」をするためのツールが「品詞」および「文型」の知識であるということを皆さんに再度認識してもらいたいと思います。
 先日、草津駅前教室の質問教室で高1のある生徒が「先生、この英文訳せへん」といってきました。ここで私が訳をすぐに教えることもできたのですが、どうもその生徒は英文をしっかりと分析して読めていなかったようなので、私は心を鬼にして文構造を把握する手がかりとなる質問を幾つも投げかけました。「ここのかたまりは何の品詞の役割をしている?」「これはO(目的語)?かな、C(補語)かな?」「この動名詞の意味上の主語は?」「この形容詞は何を修飾してる?」などなど…。
 その生徒はもう、???という状態でした。私はその生徒に対し、学校で一つひとつ習得していく単元を超えて問題にアプローチすることができていないな、という印象を持ちました。その生徒に限らず、私が担当している高1生全員に当てはまる傾向です。
 京大・阪大・神大はもちろん、国公立や関関同立の入試でも英文を多角的な視野(複数の単元の知識を使って)アプローチすることが要求されます。したがって、その習慣を高1・高2の段階から、訓練を通して意識的に習得する必要があります。それをする機会として学校の課題を使わない手はありません。塾で学んだことを学校の課題に応用してはならないなんて決まりはないのですから。
 長くなりましたが、英文を読む際には常に「この語(句)(節)は何の品詞で、どの文の要素になっているのか?」「それぞれの要素がどのようなつながりを持っているのか?」を意識して文にあたるようにすると英語力は格段にアップするということがポイントです。
 開成ハイスクールの生徒には「皆がやっている勉強」を「皆がやっているように」やるのではなく、そこから一歩進んだ「攻めの勉強」をしてほしいと思います。以前、高橋先生がブログで言及した「微差」をこういったところで積み重ねることで、大学入試で大きな差をつけて成功して欲しいと思います。

英語科 山本博貴