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開成教育グループ


2013 年 5 月 のアーカイブ

ヒーローについて

2013 年 5 月 27 日 月曜日

 「人は、自らの行動や態度を決定する際に、その指針となる係留点を必要とする。この係留点が、とくに評価の基準点となる場合、人はその基準点として採用する個人や集団と、自己とを比較することによって、満足を覚えたり不満を抱いたりする。」
 アメリカの社会学者マートン(Robert King Merton)の、有名な「準拠集団論」の概要である。このとき、人が自分自身を関連づけることによって、自己の態度や判断の形成に影響を受ける集団を「準拠集団」といい、また、自分自身を同一化させ、そのもつ価値や態度を内面化することによって自己の態度に影響を受けるような個人を「準拠的個人」という。
 私にとっての「準拠的個人」、それは、伝説のロックバンド・クィーンのヴォーカリスト、フレディ・マーキュリーである。彼はもう、この世にはいない。しかし、依然この私の「準拠的個人」として、私の中に君臨しつづけている。
 彼から得ているものは大きい。中でも、完璧さを追求する妥協なき精神と、横溢するエネルギーの源を与えられる。
 私は教壇に立つとき、まさにフレディを「準拠的個人」として、彼を自分の中に感じつつ授業を行う。彼の「完璧さ」が私の基準となる。ゆえに妥協は許されない。形式は違っても、自らの感動を一人でも多くの人に伝えたい心は同じである。そのエネルギーの源を、私は彼に求める。
 「準拠的個人」「目標とするもの」「自分を譲れない基準」。いろいろと言いようがある。すなわち自分にとってのヒーローである。
 事を成す際に、絶対的な価値基準を与えてくれるヒーローの存在は大きい。あなたにとってのヒーローは…?

開成ハイスクール英語科

一学期の国語の受験勉強法

2013 年 5 月 20 日 月曜日

 一学期もそろそろ後半へと突入していきますが、国語の受験勉強はどれくらい進んでいますか。国語の勉強を進める中で、ともすれば「国語はフィーリングで」と思い込んでしまう受験生がいます。おそらく、このままでは良い結果にはめぐまれないことでしょう。
 毎年国語で高得点を取るのは、しっかりとした国語の知識を持っており、それをフル活用している人です。例えば、古典はフィーリングでは解けません。活用語1つにせよ、それぞれの活用パターンが存在しますが、それを覚えていない人は「フィーリング=うろ覚え」で挑むことになります。古文単語を知らないと同じ事が起こりますし、漢文、現代文の知識にしても同様です。国語は勉強しないと成績が上がらないということを理解しておかないといけません。
 ただ、具体的にどのような勉強をすればいいのか、その勉強法を提示してくれる機会は残念ながら高校生には少ないように思います。例えば、みなさんが「古文の勉強法は?」と周囲の先生にたずねてみると、「単語を覚えなさい、文法を覚えなさい」といった紋切型の答えがかえってくるケースが多いのではないでしょうか。実際に国語の成績が上がる勉強は、暗記もさることながら、一方では、もう少し長期的なプランも必要です。実際に文章に触れてみること、音読してみること、読書量をたえず増やすこと、文章のジャンルを知ること、背景を知ること、傾向を知ること…。
 もちろん、これらの勉強のプランニングや方法を自分一人で行うのは難しいでしょう。その際は、ぜひ私たちに質問してください。一緒に勉強のプランを立て、実践することで、みなさんの勉強効率も随分と上がっていくことと思います。国語に限らず、一学期の戦略が合否を大きく二分します。勉強にはプランニングがついてまわりますので、効率よく日々の勉強計画を立て、まずは一学期、できることから課題をどんどんこなしましょう。応援しています!

 
開成ハイスクール国語科 重留英明

英語で伝える

2013 年 5 月 13 日 月曜日

 こんにちは。

 シーケンサーというコンピューター楽器を知っていますか。すべての楽器の音源がこの小さな機械の中にデジタル化されていて、一つ一つの楽器の音をボタン操作で入力していきながら作曲することができる、というものです。早い話が、自分一人でバンドが組める優れもの、というわけです。
 私は、どんな機器でもマニュアルを読むのがわずらわしく、あれこれ適当にいじっているうちに操作法を覚えてしまうのですが、このシーケンサーに関しては複雑な構造らしく、なかなか容易には受けつけてくれませんでした。2ヶ月ほど苦闘して、ようやく基本操作をマスターし、現在のところ6曲目のアレンジと編集をしています。
 私が作曲するのは「ラップ」。歌詞はもちろん英語です(英語講師の本領発揮!)。Rhyme(韻)を踏むのは、日本語よりも英語のほうがむしろ簡単なように私には思われます。たとえば、Sing it out, Make it loudといった感じです。
 ラップを作るようになって、これまで以上にいろんなラップをじっくりと聴くようになりました。感性を磨き、inspireされるため、と言えばカッコいいのですが、実は「マネ」をするためなのです。でも、何事も基本が大切、そして基本は「マネ」をすることによって、覚え、身につくものだと思うのです(勉強も同じですね)。
 歌詞は、作ろうとしてできるものではないようです。「歌いたい何か」「訴えたい何か」「伝えたい何か」がふつふつと涌き出てきて、それを言葉として瞬間冷凍させるようなものだと思います。

 大学入試の出題や高校の授業に「英作文」というものがありますね。与えられた日本文を英文に置き換えるという「課題」です。試験に出題される以上、それに即して得点するための技術を身に付けなければなりません。しかしその前に、根本的な英語表現力が養われていれば、これに勝るものはありません。「表現」とは、半ば人間の本能的欲求だと思います。「書きたい何か」「表現したい何か」があればこそ、その強い衝動に突き動かされて、文章は成就するのです。
 あなたが人に、あるいは自分自身に「伝えたい何か」があれば、それを英語で表現してみてはどうでしょう。始めのうちは拙い文章になるかもしれません。語彙の少なさを痛感するかもしれません。だからといって、躊躇することはありません。自分の心内からふつふつと沸き上がってくるものが、必ずや、あなたに書くことを促し続けるはずです。それは英語とて、同じはずだから。

新指導要領と数学(その4)

2013 年 5 月 7 日 火曜日

 みなさん、こんにちは。高1生のみなさんは、高校生になって1ヶ月ほど過ぎましたね。高3生のみなさんは、受験学年になって、早くも1ヶ月が過ぎました。ゴールデンウィークでたるんでしまった、なんてことはないでしょうね。
 ところで、高1生と高3生では学習指導要領が違っているということは、知っていますか。昨年から私はブログで、指導要領が変わった点のうち、いくつか数学こぼれ話のようなことを書いてきましたが、今回も同様に、ちょっとしたことを書いていくことにします。 今回とりあげるテーマは「複素数平面」です。「複素数平面」は新しい指導要領では、(主に理系が高3時に選択する)数学Ⅲの分野に含まれています。「では、私は文系だから読まなくていいや」と思う人もいるかもしれませんが、少しだけ話に付き合って下さい。
 さて、「複素数平面」の話しを続けていきますが、その前に皆さんは中学生のときに、(マイナス)×(マイナス)は(プラス)だと習ったと思います。ところで、それが、何故だか考えたことがある人はいるでしょうか?そんなもんだ、と思った人もいれば、よく分からないままに覚えてしまった人もいるでしょう。ここでは、少し図形的に説明してみることにします。まず、

は、皆さん納得しているものとします。そこで、この式を数直線を使って理解してみましょう。

すると、上の図のように、(マイナス)をかけることは、数直線上で言えば、180度反対側に行くことになります。ということは、どういうことでしょう。もう一回(マイナス)をかければ、もう一度180度反対側に行くことになると考えるのが妥当ではないでしょうか?

したがって、そのことを図で表すと上の図のようになります。ここで、全体を振り返ってみましょう。最初に(マイナス)をかけることで180度回転しました。次に、もう1回(マイナス)をかけることで、さらに180度回転しました。したがって、全体で合計360度回転して元の(プラス)に戻ることになるのです。
さて、以上で(マイナス)かける(マイナス)が(プラス)であることの説明を終えますが、実はこのことと「複素数平面」の話がつながっています。主に高校2年で習う数Ⅱの範囲に、2回かけると(マイナス)になる数(これは、 と書くことになっています。虚数単位という難しい名前がついています。)を習います。そんな数があるはずがないと思う人が大半ですが、上で説明した「(マイナス)をかけることは、180度回転することに等しい」ということを考えると、
「 という数を2回かけると(マイナス)になる。」
→「 という数を2回かけると180度回転する。」
→「 は1回かけると90度回転するはず!?」
という発想をもつことができます。

 こうして、もともと数直線上だと考えていた数を、平面全体まで広げて考えてみようか、ということで「複素数平面」が生まれてきました。人間の発想って不思議で柔軟ですね。しかし、みなさんの中には、「そんなのは、頭の中で考えているだけで、実際には なんて数はないでしょ。」と思う人もいるでしょう。ところが、この という数が「原子や分子の世界」を理解するのに使われたり、「電気製品の設計」をするのに使われたりするようになったのです。このあたりは高校の数学だけを見ていてもさっぱりわからない世界ですが、ときには、こんな話を聞いてみるのもいいのではないでしょうか。自分一人で知っている範囲のことはそんなに多くはありません。むしろほとんどないと言ってもいいくらいです。勉強し、いろいろな人の話を聞き、自分の中に良いものを蓄えていくようにしてください。

開成ハイスクール数学科 村上 豊