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開成教育グループ


2016 年 10 月 10 日 のアーカイブ

数学と科学・技術 その12

2016 年 10 月 10 日 月曜日

いきなりですが、皆さんにお願いです。次の100個の「ハイスクール!」(7文字)

の中から、

コレと同じ色の「ハイスクール!」を見つけてもらえないでしょうか?

さて、みなさんはどのような解き方を考えるでしょうか?

一番素朴なやり方は、左上から順番に、一つ一つチェックしていくというのがありそうですね。探しているものの最初の色は赤紫色だから、一つ目は違うな、その下も違うな、上から7番目のものは、2文字目まで色があっているけど、その後が違うな、と上から下へ、下までくれば隣の列へ、と探していくと、左から2列目の上から15行目に同じ色のものが見つかるのがわかりますよね。「やったー」ですね。「それじゃ、今度はこの順番のものをさがしてください」と言われたらどうでしょう。

「よし、やるぞ」と思ってくれた方、ありがとうございます。そうですね、左から4列目の上から4行目に欲しいものがあります。しかし、さらにまた、別の色が示されて、「次、これお願い!」と言われたらどうでしょう。

いい加減、目がチラチラしてきて、つらくなってくるでしょうか。まだ付き合ってくださった方、ありがとうございます。答えを言うと、実はそんな色順のものはありません。「えっ!!」と思うかもしれませんが、容赦なく、さらに「今度はこれを見つけてください」と言われたら、いい加減うんざりでしょうか。

仏の顔も三度まで、というくらいですから、「いったい、いくつあるんだ、あるかどうかもわからないのを探すのはもう嫌だ」と思っても仕方がないでしょう。根気のある人はまだ付き合ってくれているかもしれませんが、どうももう少し別の方法を探した方がよさそうです。実際、色の並び方は7の7乗で823543通りもありますから、せっかく探しても100個の中には見つからない可能性が高く、しかし、人間ですから、見落としている可能性もあって、その結果、何度も探し、何度もチェックする羽目に陥りそうです。よりうまいやり方が必要ですね。どんなやり方がいいでしょうか?
一つの答えを書く前に、こんなことがなんの役に立つのかを伝えておきましょう。現在は、情報化社会と言われていて、情報をいかに利用するか、ということが大事になってきています。その中には、情報をいかに手早く手際よく見つけるか、という問題も含まれています。上の例では、100個の色データでしたが、世の中には、何千、何万というデータが飛び交い、その中から、必要なものを検索し、調査、利用するということが行われています。人間の手でデータを一つ一つ調べていたらキリがありませんね。ですから、コンピュータでの処理が行われています。けれど、コンピュータにどのように処理するよう命令するのでしょう。実は、この命令の仕方として、高校数学で習う「集合論」のアイデアが使われることがあります。集合というと「ものの集まり」と習ったと思いますが、うまい「ものの集まり」を見つけてくることで、問題を解決します。最初の問題を例にして説明しましょう。色全部をチェックするのではなく、最初の色だけに注目しましょう。最初の色が赤紫色ですから、そういうものだけをまず全部集めてきます。この段階で、次の17個が抽出されます。

次は、二つ目の色が薄い藍色のものをさらに抽出します。集合論では、  A∩Bとか書くものですね。

わずか6個に絞られました。こうして、順繰りにたどっていくことで最終的に欲しいものが見つかるのです。集合論でいう、A∩B∩C∩…ということをしていくわけです。最終的な結果は、次のようになります。

おや、どうやら探していたものは2つあったようです。
人間の手で上の抽出作業をすると大変で手間がかかりますが、コンピュータはこの種のことを容易く疲れることなくやってくれます。そして、このように「問題を切り分けて処理する」ことで、たとえ、複雑な問題に変わっても(たとえば、「一文字目は水色か緑色で、4文字目は黄色以外のものを探して来い」等)、同じようなやり方でできるのです。もう少し身近な例で考えるなら、皆さんがネットで検索するときを想像してみましょう。キーワードを複数指定したり、除外したいものをマイナス検索したりすることがあると思いますが、それは「集合論」の言葉でいうと、「かつ」や「補集合」にあたるものになっているのです。
さて、このように、科学・技術の中にはいろいろな数学的考え方が隠れていることがあります。人間は、慣れ親しまないと物事を理解できない面がありますから、高校の間、勉強をおろそかにしないようにしてください。いずれ、困難な問題や、より高度な問題に直面したときに、それに立ち向かい、解決していくための基礎体力になります。

開成ハイスクール数学科 村上豊