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開成教育グループ


実りの秋

2011 年 9 月 26 日

 みなさん、こんにちは。夏が終わり、秋がやってきました。まだまだ暑い日もありますが、周りの風景が次第に秋へと変わっていくことでしょう。
 秋といえば、皆さんはどんな印象を持つでしょう。「芸術の秋」「読書の秋」「食欲の秋」などいろいろありますが、最近、私は「実りの秋」が気に入っています。夏の間に成長した穀物が、いよいよ刈り入れの時期を迎えます。しかし、秋は収穫の時期である一方、台風の季節でもあります。「天高く馬肥ゆる秋」という故事があります。日本では、秋の豊かさを表す意味で使われますが、中国では、収穫した穀物を強奪しにくる異民族に気をつけよ、という意味を持っているそうです。日本はあまり外部からの侵入のない国であったため、一見違う意味になっていますが、その日本でも、台風のような自然からの脅威にさらされます。収穫をし、豊かさを手に入れる「実りの秋」といっても、外部からの侵入があったり、台風の被害を受けたり、様々な紆余曲折、困難を経て、実りは自分たちのものとなるのではないでしょうか。そして、そのような困難を乗り越えて実りを手に入れるからこそ、収穫の時期は楽しみがあり、喜びの時となっていると言えます。
 学ぶことも、収穫と同じ面があります。ようやく夏が過ぎました。皆さんは時間をどのように使ってきたでしょう。多くのことを吸収し、収穫という成果へと結びつけていくのが、今のこの秋という期間です。もちろん、まだ完全に実って熟しているわけではありません。困難に遭ってめげてしまいそうになることもあるでしょう。しかし、努力し吸収しようとした人には、その人の中に、確実に実りの根が息づいています。冬の受験という季節には、その根が確実に生きるように、この秋を利用し、自分自身をより豊かなものにしてください。

数学科 村上 豊

ダニューブ・エクスプレス(その 4)

2011 年 9 月 20 日

前回5月16日からの続きです)

ダニューブ・エクスプレスの3日目の朝はルーマニア国内を走ります。日本の旅行会社がくれた行程表では、この3日目の午後にはトルコ、イスタンブルまで到着予定でしたが、どう考えても、「ソ連国際列車時刻表」(英語版)が言うようにあと1日かかる方が正しいに決まってます。それによるとルーマニアを通過するのは約13時間です。モスクワからソ連・ルーマニア国境まで約25時間かかったことを思うとソ連という国がいかに広大なのかがうかがえます。
 同室のイラク人留学生たちはまだ寝ていました。彼らにいつもご馳走になるのは悪いと思い、ソ連持ち出し禁止のはずのルーブル紙幣がまだ少し残っているのを思い出し、私は一両後ろにある食堂車へと向かいました。シベリア鉄道のように長い車両に乗っていると、人の波をかきわけて、狭い通路を食堂車までたどり着くだけで小旅行。そこまで行くことを考えるだけでも億劫なこともあり、また、国際列車は列車の切り離しと連結が頻繁に行われるので、いつどこで列車が停車し、自分がいるべき車両が切り離されるかもわかりません。その点、食堂車がすぐに移動できる隣の車両というのはありがたいものです。
 数十秒後、私が知ったのは、自分の乗っている車両が、現時点で最後尾になっているという事実でした。私の乗っている車両の後ろにあったはずの食堂車は跡形もなく消えていました。帰国してから持ち帰った「ソ連国際列車時刻表」(英語版)を見ていて知ったのは、食堂車が連結されるのはどうやらソ連国内のみであり、ソ連を出国すると切り離されてしまうということでした。だから、事情を知る乗客は、みな食料持参で乗車するのでした。
 事情を知らない旅行者である私としては、どうしたものか考えました。一応、モスクワのホテルで出発直前にホテルのバイキングで、万一に備えて1日ぐらいは持つかという食料を確保していました。それが半分ぐらいはまだ残っていました。車掌に言えばサモワールで作った驚異的に熱いロシアンティーはいくらでも飲めるはずです。ということで、食料についての目途をつけて、コンパートメントへ戻ると、ルームメイトたちは起きだして朝食を始めようとしていました。そして、私の顔を見ると「どこへ行っていたのだ?早く食べろ」と言います。ということで、彼らのおかげで何とか空腹はしのげたのでした。本当に今でも思い出すたびにありがたく思います。
 そうこうしているうちに、ルーマニアの首都ブクレシュティに到着します。日本ではブカレストと呼ばれることが多いこの街ですが、この日はどんよりと曇った薄暗い日であったという記憶しかありません。ソ連以下社会主義陣営の諸国から多数のボイコットが出た1984年のロサンジェルス・オリンピックに東ヨーロッパ諸国の中で唯一参加するなど、社会主義陣営に属しつつもそのリーダーであるソ連からは距離を置き独自の路線を歩んでいることが、資本主義諸国から評価されていた国でしたので、私にはルーマニアは比較的抑圧されていない国だというイメージがありました。ただ、天候で感じたことなのかも知れませんが、それにしてもブクレシュティの街そのものも何かどんよりしていた印象を受けました。国内に滞在したのはわずか13時間、さらにそれは列車での旅、首都の停車時間もわずか15分でしたが、入国時のビザに対する甘さに反して、その後の荷物のチェックの意外な厳しさを含めて、何となく重苦しい空気を感じた国でした。現実に、当時のルーマニア国内の抑圧が周知されるようになるのは、私が国内を通過してから1年9カ月後の1989年末、ルーマニア革命が起こり、チャウシェスク大統領夫妻が処刑されてからのことになりますが…。
 ブクレシュティを出発してから1時間ほどでルーマニアを出国します。出国時はソ連とは異なり、パスポートのビザを確認するだけで出国スタンプが押されました。荷物のチェックは一切ありません。ただし、ロシア人の車掌だけはものすごくピリピリしていたことを覚えています。まだ国境で列車が停車する前ですら、トイレに行こうとすると「動くな」といって押さえつけられるほどでした。
 ルーマニアを出国すると国境を越えます。ルーマニアとブルガリアの国境は、この列車のネーミングの由来であるダニューブ川、すなわちドナウ川です。ドナウ川といえば、ヨハン・シュトラウスのワルツ『美しく青きドナウ』が有名です。列車名になるくらいです。私もドナウ川がどれくらい青いのかと期待していました。列車は鉄橋をゆっくりゆっくりと渡っていきます。そしてその本流はと言うと…。
雪解けの季節だったからかもしれません。ウィーンよりはるか下流で期待する方が愚かだと言われるかもしれません。そのことを割引いても…。それは何ともどす黒い激しい流れでした。当時の私は季節についてはあまり考えが及ばず、工業排水のせいだと思っていました。当時のソ連、東欧の工業化はすさまじく、さらに今とは違って環境にまるで優しくない工業化に加えて、自動車の排気ガスの規制など無いような状態でしたから、ソ連国内の都市の空気は3日市内を歩くだけで喉がやられるほどのひどいものでした(乾燥していたせいもありますが)。だから、ドナウのどす黒い水もそのせいかと思ったわけでした。ただただ、期待外れでありました。
 ドナウ川の対岸はブルガリアの都市、ルーセです。ビザについてはうるさいブルガリアです(実情が思った以上に厳しいことを知ったのはトルコに到着した後ですが)。しかし、意外とあっさり審査は終了しました。その後、ルーマニア入国時と同様、大きなオバちゃんがやってきました。また、ベッドに座って荷物検査か?今度こそベッドが潰れたら…などと思っていると、どこかの国の仏頂面のオバちゃんとは違ってにっこりとほほ笑み、私に対して一言 “Do you have Bulgarian money?”と尋ねただけでした。“No.” の一言で私は解放されました。意外とぬるい雰囲気です。ソ連からルーマニアへの越境は深夜だったのに対して、今度の越境は昼間だったからかもしれません。ということで、食糧危機を乗り越えた私は、何事もなくルーマニアを離れ3つ目の国ブルガリアへ入ります。

片岡尚樹

今できることをやろう

2011 年 9 月 12 日

 皆さんこんにちは。夏休みも終わり、今は学校の定期考査や夏休みの課題考査に追われている頃でしょうが、日常生活も本調子に戻ってきたでしょうか。
 現役高校生が成績を落としやすい危険な時期が、実はこの「夏休み明け」であることを意識せずに過ごし、後悔をしている人が毎年少なからずいます。
 とかく学習に対するモチベーション管理が大変なこの時期ですが、開成ハイスクール各教室の先生方が、受験に向けた過程の中での、この時期の重要性を語ってくれています。2学期の授業も頑張っていきましょう!

 さて、私はお盆休みに、開成ハイスクール草津駅前教室・西田辺教室の高3生たちの合格祈願に、福岡県太宰府市の「太宰府天満宮」に行ってきました。
 「他力本願」といわれるかもしれませんが、自分自身が今できることを精一杯やりきったら、あとは運を天に祈るしかありません。何よりも自分が「よく頑張ったな!」と自分を褒めてあげられるような生活を、高3生諸君には送って欲しいと思います。
 高1・2生のみなさんも、他人ごとと考えていてはいけません。高校生活は楽しく充実している分、時が過ぎるのもとても速いものです。それに対して、学習量は膨大ですから、高3から受験勉強を始めたのでは確実に手遅れになります。
 草津駅前教室では、高2生が早期からの受験対策として「代ゼミサテライン」の受講を徐々に始めています。開成ハイスクールで受講している英語や数学に加え、理系であれば理科科目、文系であれば古文や歴史科目は、早期から対策を始めると高3になってからの負担が大幅に軽減されます。
 受験に向けてやるべきことの総量が同じだとすれば、それを1年でするのと、2~3年かけてするのとでは、1日あたりの負担に大きな差が生じるのは言うまでもありません。効率の良い勉強をして、余った時間を使って更なるパワーアップを図れば、志望校合格に向けて、ライバルたちを大きくリードすることができます。
 とにかく「今、自分にできることは何か?」を常に自問自答し、それを実行する地道な努力を続けてくださいね。

 

草津駅前教室

夏休みを振り返って

2011 年 9 月 5 日

 もう9月になりましたが、皆さん、いかがお過ごしでしょうか。最近は、8月中に新学期が始まる学校も多いようで、夏期講習の授業が新学期に食い込んで実施されている教室もあります。夏休み開始当初は閑散としていた自習室が、この時期混雑しているのを見かけると、なんだか複雑な気持ちになります。みんな必死になって宿題を仕上げにかかっている姿を目にするからです。

 中学生の頃は、絶対に期日までに提出しないと内申点に影響するという思いからか、新学期が始まってから夏休みの宿題と向き合っているということはなかったと思います。

 高校生になった皆さんはどうでしょう。確かに、指定校推薦を意識しない生徒にとってみれば、「評定平均値」を上げることは、実質的にあまり意味をなさないのかもしれません。しかし、「通知表なんて関係ないから、宿題なんかやらなくていいんだ」と考えているとしたら、それこそ大間違いです。そもそも不要な宿題なら、学校の先生も皆さんには課さないはずです。少なくとも塾に通っている皆さんは、大学進学を希望しているはずです。大学入試に必要な知識を身につけるために日々頑張っているはずです。ですから、宿題を無視するということは、皆さんの目標に向かうことと逆行する行為になるのです。

 ところで、ほとんどの高校では、1年生は夏休み明けに文系・理系の選択を迫られます。模試でも志望校判定を出すために、大学・学部の選択が求められます。その際に、必ず志望校の過去数年の倍率を見て下さい。皆さんが今春、苦労して突破してきた高校入試の倍率と比べると、とんでもなく信じられない数値が並んでいるはずです。それだけ、大学入試は大変だということです。

 1年生も2年生も、来年もまた高校生としての夏休みがやってきます。来年の夏休みは、開始当初から自習室が熱気に包まれていることを期待します。
 

開成ハイスクール英語科 濱田健太郎

「学ぶ」

2011 年 8 月 29 日

 こんにちは。

 今回は、「学ぶ」ということについて考えてみたいと思います。

私は、「学問」という言葉を、次のように解釈します。「学問」とは、「学ぶ」ことを「問う」ことである、と。「学ぶ」とは一体どういうことなのか、どんな意味を持つものなのか。それを問い続ける限りにおいて、「学問」は「学問」として何らかの意義を持ち続けるのではないでしょうか。学ぶことの意味・目的を、自分に、そして社会に問い続けない限り、そこからは何も生まれないと思うのです。そして、その問いかけの中から何かを見出した時、おそらく「学問」は「学術」へと発展するのでしょう。「学術」とは「学ぶ術(すべ)」と書きます。学ぶことは、必ずや形をもった「術」となり得ます。自分がそれを意識する、しないに関わらず、「学問」は自己発展の具体的な手段となるのです。

私は、開成ハイスクールの教壇に立ち、英語の教科指導をしながら、「学問」「学術」のもつ醍醐味、世の中の見方や生き方まですっかりと変えてしまう学問の魅力にとり憑かれた者として、実はそのことを、生徒諸君に最も伝えていきたいのです。もちろん、テストの点数や入試といった現実があります。それも現実です。そうした現実の中で、諸君の「学問」への道をいかに切り開いていくか、これが私にとって、取り組むべき大きな課題なのです。

漢文「センター試験対策」勉強法

2011 年 8 月 22 日

今回は、センター試験対策としての「漢文の勉強法」を紹介します。

やることは、以下の3点です。

①句型と単語
②文型
③長文の再読

① 句型と単語
漢文は書き下すと、古文の文章になります。助動詞・助詞の使い方なども、古文とほぼ共通しています。
ただ、一点大きな違いは、古文にはなかった句型が文中に出てくる点です。多少は論理でクリアできるものもありますが、受験生は、基本的なものは当然暗記をしておく必要があります。もちろんセンターでは句型がでている部分が設問に絡んできますので、避けては通れません。必ず一冊、「句型集」は完成させておきましょう。そして、漢文にも重要な漢字があります。たとえば「百姓」は、現代語の百姓とは違い「一般の庶民」を表します。このように、独特の意味を持った漢字を、一つの単語として暗記する必要があります。もちろん、古文単語とは違い数も少ないですので、語句の載っている参考書などを見て、一気に覚えてしまいましょう。

②文型
漢文では、英語同様、語順により品詞を見極め読解していくことも必要不可欠です。現代の日本語のように、助詞によって品詞を見分けることが困難なため、基本の語順を暗記しておくと、より読解の精度やスピードが高まり、返り点等の設問にも容易に対応できるようになります。また、古文同様、主語の省略が著しいので、述語の位置は語順から必ず理解できるようにしておきましょう。特に、授業で語順を学んだ受験生は、読解を繰り返すことが肝心です。語順を知っているか否かで、読みのレベルが大きく変わりますので、必ずマスターしてください。

③ 長文の再読
漢文の点数に伸び悩む人は、漢文を読む分量が足りていない場合が多いようです。ですから、問題を解くことは当たり前のことながら、必ず文章を3度は読み返してください。
また、すでに理解できている文章を読み返すことにより、文の構造や使われている句型が頭にしっかりと記憶されていきます。頭の中に漢文の文章のモデルをたくさん作っておくことが、成績上昇の近道ですから、授業を受けている人はかならず復習の仕上げに読み直しを行ってください。
以上が、漢文の勉強法の要点です。とにかく、句型と単語・文型・長文の再読が、漢文の頭を作る一番の近道となるはずです。

                              国語科 重留 英明

日々の勉強で、自分の成長を実感していますか?

2011 年 8 月 17 日

 こんにちは。
 残暑、本当に厳しいですね。地球の温暖化を身にしみて感じます。少しでも早く“小さい秋”を見つけたい今日この頃です。
 しかし、この暑さが一年中続くことはありません。確かに昨日、今日というスパンで考えてみればさほど変化はないように感じますが、少しずつ時は巡り、そして、いかなる物も変化していきます。もちろん人間もそうです。毎朝鏡に映る自分を見て、昨日の朝の自分との変化をはっきりと認識できるものではありません。でも10年前の自分とは明らかに違います。それを「老い」と呼ぶか「成長」と呼ぶかは人それぞれですが、変化していることは確かです。
 さて、8月も終わりつつあります。この夏の、あなたの学習生活を振り返ってみてください。夏期講習を経て、また、日々の学習によって、あなたは確実に変化しているでしょうか?一か月前より、一週間前より、昨日より、一時間前より、授業を受ける前より、問題を解く前より、確実に成長しているでしょうか?そしてそのことが実感できるでしょうか?成長している自分を明確に意識できるでしょうか?私は生徒たちに、こんなふうに問いかけるようにしています。「この授業で、何がどのように分かるようになったのか?」「どんな知識が自分のものとして定着したのか?」「昨日より進歩した自分を実感できるか?」
 勉強=問題を解くこと、ではありません。もちろん問題を解くことは、勉強の一つの有効な手段であることは自明ですが、問題を解くこと自体が勉強の目的ではありません。問題を解くことにより、それまでの自分が変化し、新しい自分に成長すること、そしてそのことを実感し、また新しいものにチャレンジすること、それが学ぶ事の目的だと思います。

合格のために、勉強以外の大切なこと!

2011 年 8 月 8 日

 「試験に合格する」「テストで良い点数をとる」ためには、勉強することが一番大切です。それはみんなわかっていることなので、今回は勉強以外で大切なことについて書いてみたいと思います。

 たとえば、こんな例を考えてみましょう。
 Aさんは、弁護士を夢みて司法試験に10年間チャレンジし続けています(ちなみに過去の司法試験は日本最難関の試験と言われていました)。10年間、司法試験に向けての勉強をしっかりと積み重ね、短答式(マーク式)試験には合格をしていますが、論文試験(記述式)に合格することができません。(Aさんは自分の学力が足りないと思っているから)毎年、毎年、血のにじむような努力をしていますが、論文試験に合格することができません。
 いったい原因は何でしょうか。

 みなさんは、どう思いますか?

 勉強の仕方が悪い、努力不足といった原因も考えられますが、こういった原因は思い浮かびますか?たとえば「字が汚い」「書くのが遅い」などです。これは勉強以外の要素です。実際に司法試験を受験する予備校に行くと、「ペン習字を習いなさい」と真面目に指導されます。司法試験の論文試験は1科目2時間で計6科目を受験します。この12時間の試験時間の間に、ほぼ休みなく字を書き続け、論文を仕上げます。
つまり、勉強以外の、字を書く早さ・字の綺麗さも要求される試験だということです。字が汚く、書くのが遅い場合には、Aさんは今後いくら司法試験の勉強をしても合格することはできません。しかし、Aさんは学力が足りないと思っているので、司法試験の勉強をさらに続けます。果たしてそれで合格することができるでしょうか。

 この例は、司法試験という超難関試験のことで、あまり大学受験にはつながらないと思うかもしれないですが、非常に大切な示唆を与えてくれます。
 私からお勧めしたい勉強法は「なるべく実践的な状況で勉強する」ことです。具体的に想定してほしい状況は以下の3つです。

 実際の試験場では
 ①隣に他の受験生がいて気になる
 ②音楽プレイヤーは聞けない・耳栓は使えない
 ③試験は朝から始まる

 「壁で仕切られた自習室でないと集中できない」「音楽を聴いたほうが集中できる(または、静かなほうが勉強できる)」「夜、暗いほうが集中できる」といったことを口にする受験生がいます。これらはすべて事実だと思いますし、私もこうした状況で勉強するほうが、学習がはかどると思います。しかし冷静に考えてみると、実際の試験場では、こうした状況は望めません。隣ではライバルの受験生が問題を解いていますし、試験中に音楽プレイヤーは無理ですよね(笑)、また試験は朝からあります。
 というわけで、現時点では、自分が集中できる環境で学習するのは良いことかもしれないですが、今後は、より実践的な状況を想定して勉強することも必要になってきます。
 特に、生活リズムを朝型にするのは大切なことです。センター試験・2次試験ともに6~8時間くらい集中して、朝から問題を解く必要があります。夜にばかり勉強しても、夜に試験はありません。朝から集中できる体を今から作ってください!
 合格に向けて大切な夏!です。自己管理をしっかりして、合格を勝ち取りましょう☆

数学科 前田佳邦

夏休みはチャンスです!

2011 年 8 月 1 日

 毎日、暑い日が続いていますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?旅行に行く人、部活を頑張っている人、勉強に励む人、などなど、夏休みという、まとまった時間をどう使うかは人それぞれですね。
 普段の学校生活では、だいたい皆、同じような生活リズムで1日を過ごしていますよね。同じ時間に学校で勉強して、その後部活をして、家に帰って…、といった具合に。そして、その中からうまく時間を見つけて、コツコツ勉強してきた人と、そうでない人がいるはずです。両者には歴然とした差ができてしまっているはずです。みなさんが前者ならともかく、後者だとすれば、それは深刻な状況かもしれません。
 しかし、夏休みをうまく利用すれば、一発逆転も狙えます!高3生はともかく、高1・高2生は夏休みに入ると、ついだらけてしまいがちです。定期テストまで日数がありますし、学校がないので遅い時間まで夜更かしをし、昼目覚めるといった悪いサイクルを作ってしまう人もいます。だからこそ、ここで集中して勉強すれば、他者を大きく引き離すことも可能となるのです。チャンスですね。そう、この誘惑の多い夏休みだって、みなさんを変えるチャンスにもなり得るのです。
 夏休みをどう使うかは、あくまで自分次第です。みなさんが、悔いのない夏休みを過ごせるよう願っています。

開成ハイスクール英語科 津留天然

「数学を暗記する」ということ

2011 年 7 月 25 日

 みなさん、こんにちは。暑い夏がやってきました。今年の夏は、節電という掛け声の下、普段の生活をいろいろと見直す夏でもあります。この機会に、普段の勉強についても見つめ直してみませんか。
前回の私のブログでは、数学の勉強の仕方について書きましたが、これについては様々な意見があります。数学は「考える教科」だから、じっくり考えないといけない、といったものや、数学はパターンを暗記する「暗記教科」だという意見もあります。そこで今回は、「数学を暗記する」ということについて書いてみようと思います。
 人間は、歳とともに変化していきます。以前と同じままということは絶対にありません。暗記に関してもそうです。一般的には、歳を取るにつれて丸暗記が出来なくなっていくものです。しかしその一方で、暗記の質も変わっていくものです。
 小さい頃は、意味が分からなくても覚える暗記(いわゆる丸暗記)が、さほど困難ではありません。「じゅげむ、じゅげむ、~」などと覚えた人もいるでしょう。やがて成長するにつれ、いろいろな事柄を論理的につなげる、理解を伴う暗記に変わっていきます。そして、その変わり目が、高校生くらいの頃だと言われています。経験しないと分かりづらいかもしれませんが、この「理解を伴う暗記」は、喩えるなら、演技の台本を覚えるようなものです。台詞を覚えることは必要ですが、それだけでは演技はできません。ストーリーを知り、登場人物の気持ちを理解し、どう演じるべきかを知らないといけません。
 この、演技の台本を覚えるということを、数学に当てはめて見ましょう。台詞を覚えることは、公式を覚えることです。ただ、それ以上に必要なのは、解答に至る流れ・筋道を知ることです。台詞がストーリーの適切なところに配置されているように、公式は流れ・筋道の適切な位置にあります。そして、ストーリーが分かってないと、登場人物の気持ちが腑に落ちないように、問題の筋道がわからないと、その問題が宙に浮いたようになってしまいます。  
 どう演じるか、というのは、問題を実際に解いていく段階になります。演者が練習の成果を出すのがこの時であるように、数学の不断の努力の成果を出すのが、問題を解く時です。解いていく時の武器は、練習で培った論理的な推論能力です。演者が、ストーリーを知り、登場人物の気持ちを理解し、演じ方をすべて覚えて舞台に立つように、数学を解くには、問題の筋道を知り、問題内容を理解し、論理的に推論していく、という手順を覚えないといけません。難しいと感じるかもしれませんが、だれもが最初は大根役者であるように、度重なる練習をしないと、数学は上手にはなりません。放り出せば、そのチャンスは失われてしまいます。まずは公式の暗記から始めてみてください。そして、必要な手順を、一つ一つクリアしていってください。

数学科 村上 豊